「minne」が作家支援を拡大 作家活動アドバイザーに聞く『minne LAB』が目指すものづくりの未来

 2019年1月にサービス提供開始7年目を迎えたハンドメイドマーケット「minne」。2012年のサービス提供開始以来、成長を続け、現在では作家数55万人、公開されている作品数は1000万点を突破しました。(2019年7月末時点)。また、7月31日には今後の展開として、ものづくりに関するモノ、コト、ヒトが集まる”ものづくりの総合プラットフォーム”として進化するためさまざまな取り組みを行なっていくことを発表しました。

「minne」はオンラインのサービスでありながら、オフラインでもさまざまな取り組みを行なっており、大規模販売イベント「minneのハンドメイドマーケット」や、作家さんの発掘・支援を目的とした「minne ハンドメイドアワード」の開催、全国各地でネット販売セミナーの実施、さらに外部企業とのコラボレーション企画など、作家さんの活躍を広げる取り組みを行なってきました。

 そして新たに、2019年5月から作家さんの可能性をより一層広げるための取り組み、「minne LAB(ミンネ ラボ)」がスタートしました。「minne LAB」は従来の活動支援に加え「販売拡大」「価値拡大」「事業拡大」をキーに、作家さんの活動支援を拡大する取り組みを行なっていきます。これまで作家活動の相談・交流・学びの拠点であった「minneのアトリエ(世田谷・神戸・福岡)」も「minne LAB(世田谷・神戸・福岡)」と名称を変更し、「minneのアトリエ」での各種取り組みや施設を継承しつつ、その活動の幅を広げる取り組みの場としてより一層ものづくり全体を盛り上げていきます。

 今回は、「minne LAB」の取り組みの統括を行い、「minne LAB」にて作家活動アドバイザーとして多くの作家さんと対面する二木さんに「minne LAB」のこれからについてお話しを伺いました。

二木 奈緒(にき なお)
Twitter:@nao_niki
あだな:なおちゃん
minne事業部ラボグループ サブマネージャー兼minne LAB 作家活動アドバイザー。minneで自分のものはもちろん身近なひとへの贈り物を探す毎日。届いた作品を手放したくなくなることもしばしば。 最近のマイブームは、大黒屋海苔店さん味付け海苔、ピオーネ、キウイチューハイ、不知火オレンジ。

作家さんの可能性を広げたい、加速させたい

ー5月から『minne LAB』がスタートしましたね。『minne LAB』とはどういった取り組みですか?

 「minne LAB」は、「minne」で活動する55万人の作家さんの「販売拡大」「価値拡大」「事業拡大」に取り組みます。「販売拡大」に関しては、「minneのアトリエ」で行なってきた、作家活動アドバイザーによる個別相談や、自治体やパートナー企業のご協力のもと開催している、全国各地での作家向けセミナーに加え、各拠点にお立ち寄りいただけない遠方の方や小さいお子さんがいらっしゃる方などへ向けたオンラインコンテンツ「minne学習帖」の配信も行なっています。
 「価値拡大」は、エンタメコンテンツとのコラボレーション作品の制作・販売や、ワークショップ、トークショーといった作家としてのものづくりの先、作家さんの価値を拡大するための活動を行なっていきます。 そして「事業拡大」では、作品の制作・配送・販売に関する各種支援や、事業として取り組んでいくために必要な、確定申告や経理業務の効率化を図るツールの導入支援など、作家さんの活動を事業として拡大させていくための機会を提供していきたいと思っています。
 これまで対面で培った作家さんのお悩みポイントやステップアップのきっかけなどの知見を活かして企業と連携し、作家さんに向けた商品共同開発やモニター企画、作家さん監修商品の創出などに取り組んでいきたいと思います。商品やサービスを展開されている企業の皆様においては、55万人の作家さんや作家活動アドバイザーのノウハウという「minne」の強みをいかした様々な企画を実施し、事業拡大につながる取り組みをしていきたいと思います。 
 「minne LAB」では、作家さんの作品カテゴリやスキル、活動年数に合わせたネット販売の相談対応に加え、作品販売以外の”作家さんとしての価値”を生かしながら収入を得られる活動のご相談にも対応しています。例えば、ワークショップの講師をやっていきたい、キットを販売したいけど何から始めればいい?と悩んだ時に「そうだ、minne LABに行ってみよう!」と思ってもらえる場所でありたいと思っています。

「minne LAB」は学び、共に成長する場所

ー二木さんは2016年に「minneのアトリエ 神戸」のオープニングから作家活動アドバイザーとして入社されたんですよね。ジョインのきっかけは?

 もともとものづくりが好きで、なかでもミシンを使って作ることが好きだったので鞄やアクセサリーなどを作って、委託販売やポップアップの催事などを中心に作家として活動していました。活動を続ける中でイベント企画会社の方からお声がけいただき、イベントの企画運営や、ノベルティ制作に関わる業務を担当していました。人と人とのコミュニケーションをつくることができるイベントの仕事は、手を動かして何かをつくることと同じくらい、私にとっては”クリエイティブ”なことでとても楽しかったです。でも、次第に「ものづくり」と「人と人を繋ぐコミュニケーション」のどちらもできる仕事はないかと思うようになりました。当時、ものづくりと仕事の両立が難しいと感じることもあって一度立ち止まって考えてみようと思っていたところ、「minneのアトリエ 神戸」の求人に出会ったんです。ものづくりを身近に感じながら、作品と人、人と人との繋がりをつくる場所に大きな可能性を感じて応募し、ジョインしました。

ー「minne LAB」では、どんな1日のスケジュールですか?

 ラボのオープン時間は、11時から17時なので、午前中に作家さん相談のご予約がある日は、10時に出勤します。ご予約がない日は、フレックスを活用し、11時のオープンまでに出社します。出社したらメールやSlack(ペパボで使用しているチャットツール)、Github Enterprise(以下、GHE)で自分の関連する案件に動きがないかなどのチェックをします。
 作家さんが来られたら、個別相談や撮影レクチャーを行い、来館者の方が来られたらサービスや施設の紹介や、作品・作家さんについてお話させていただきます。来客対応の合間に外部の方との打ち合わせや、社内MTGを行います。その他、作家さんをお招きしたイベントの開催や、企業の方におこしいただき、サンプリングの企画やイベントの打ち合わせをする日もあります。隙間時間で作品の展示替えや掃除、事務作業をします。イベント前の椅子並べなどの設営や、開催後のゴミ出しなど、実は力仕事も結構あり、一人で45Lのごみ袋4つは運べます(笑)。

「minne LAB」の一日のながれ~ある日の二木さん~
10:00~11:00 メールチェック、Slack、GHE確認
11:00~12:00 ご予約の作家さんの相談
12:00~13:00 提案資料の作成
13:00~14:00 ランチ
14:00~15:00 メールチェック
15:00~16:00 企業とのお打合せ
16:00~17:00 翌日の準備
17:00~18:00 経費精算、勤怠の申請、備品の発注など事務作業
18:00~19:00 ラボのスケジュール調整やイベント等企画の立案

ー東京や福岡のオフィス「minne LAB (世田谷・福岡)」と距離が離れていますが、どのようにコミュニケーションをとっていますか?

  GMOペパボは全パートナーがSlackやGHEを利用しているので、東京や福岡のオフィスと物理的に離れていても、情報共有は円滑にできるのですが、正直入社してしばらくは、SlackやGHEの活字でのやり取りに戸惑いがありました。書き方によっては伝わってないなぁと感じることもあったし、対面に勝るものはないと感じることもありました。ですので「今の状況や環境でできることの最大化をしよう」と考えていました。特に意識していたことは、距離が離れているからこそ、パートナーへの尊敬や感謝の気持ちを書きすぎかな?と思うくらい伝えるようにしていました。文通じゃないですけど、距離があるからこそ深まる愛みたいな(笑)。それに、パートナーが神戸のことを気にかけてくれているのをすごく感じて、それがうれしくて、その気持ちに答えたいという気持ちは強かったですね。たまに出張で東京オフィスにくると、「あの時大変だったね、うまくいってよかったね~!!」って感動で涙がでちゃうんですよね。パートナーが少ない拠点にいたからこそ、オフィスにいることの良さ、拠点にいることの良さを感じることができて、ラボは、私にとって沢山の事を学び、成長できる場所だなと感じています。

ー最後に、『minne LAB』の目指す”ものづくり”の未来を教えてください。 

 対面相談で培ったネット販売ノウハウや、オンラインのなかで活動されている55万人の作家さんという「minne」だからこそ持っている資産を活かして、企業や自治体、個人、ものづくりに関わる全ての人を幸せにしたいです。好きな人だけが知っているカテゴリやジャンルではなく、関わる「モノ・ヒト・コト」を衣食住同様、生活の中にあたりまえにあるものとして浸透して、ものづくりでおもしろい未来をつくっていきたいです。