秘訣は「もっとおもしろく」したい想いと柔軟さ!ペパボの社内イベントが10年以上長期継続している理由

GMOペパボ(以下、ペパボ)では大小様々な社内イベントが開催されています。今年もペパボの代表的なイベント『Pー1グランプリ』(プレゼン大会)と『お産合宿』(開発合宿)がそれぞれ9月に開催されました。両イベントはペパボで10年以上にわたって長期継続開催されています。「社内イベントがなかなか続かない」、「参加率が低くて定着しない」と悩んでいる企業も多い中、ペパボの社内イベントはなぜ参加者が多く盛り上がるのか。そしてなぜ長年つづいているのか、その秘密に迫ります。

名前:和島 史典
Twitter:@wajimaf
あだな:わじさん
経営管理部 総務グループ マネージャー
麺類全般とお酒が好き。麺はのどごし重視。

総務らしい“場作り”を意識したイベント

―今日は『P-1グランプリ』や『お産合宿』を中心に、ペパボの社内イベントがなぜ長期継続しているかをお聞きしたいと思っているのですが、そもそもこの2つのイベントはどういったイベントなんですか?まずは『P-1グランプリ』から教えてください。

わじさん : 『P-1グランプリ』は、新しいアイディアやサービスをアウトプットするプレゼン大会です。『P-1(=P-1グランプリ)』は、プレゼンの「P」、ペパボの「P」の頭文字から名付けられています。
昨年までは、経営企画グループがイベントを運営しており、新サービスや新事業、新制度について、事業化や実用化までを視野に入れた資料を作り、プレゼンを行っていました。実際、アルバム・写真共有サービス「30daysAlbum™」などは、『P-1』をきっかけにサービス化しています。
今年は、経営企画グループから総務グループにバトンタッチして運営を引継ぎました。そのタイミングで、せっかくだから「総務らしい『P-1グランプリ』」にしたいと思い始めたんです。総務のみんなにもこの想いを共有して、「総務らしい」について何度も議論をしました。

悩んで悩んで、資料も何度もバージョンアップしていくうちに、ある日「パートナーひとりひとりの個性や、誰しもが持つ“幅広い興味”、“知識”、“オタクな部分”といったその人らしさ(=多様性)は、立派なアイディアの種であり、その多様性をピックアップできる“素敵な場”を作るのはどうか」という考えに至りました。それが普段オフィスでの快適な仕事環境の提供や社員旅行、季節行事など交流の場を提供している総務の仕事ともつながると思ったんです。

―その人らしさや多様性をピックアップする“素敵な場”とは、どういうイメージですか?

わじさん : 方向性は決まったけれど、一体それをどうしたら実現できるか、『Pー1』の原点「P」(プレゼン・ペパボ)に立ち返ってもう一回考えたんです。そこで辿り着いた案が、みんながその人らしい熱い想いを持っていることをプレゼンしてみてはどうかということでした。みんな1つはハマっているもの、興味あること、このことだったら朝まで話せちゃうことってあるじゃないですか。でもそういうことを話す機会はなかなか無いし、ましてプレゼンする場所もない。熱い想いを人目を気にせず全力で人前で話せたらめちゃくちゃ気持ちいいんじゃないかなって思ったんです。

―たしかに、熱い想いって聞いてるほうも、知らない世界だったのに、つい引き込まれて、自分もはまっちゃったりしますよね。

わじさん : そこで『P-1』の原点「P=ペパボ」をその人らしさと掛け合わせ、「ペパボ×〇〇〇」「クリエーターズネットワーク×〇〇〇」というテーマを総務のみんなで考えました。自分らしさとペパボやクリエイターズネットワークをかけ合わせることで、プレゼンター自身の新たな発見はもちろん、そのプレゼンを聞いたオーディエンスの新たなアイデアや気づきにも繋がれば、P-1はみんなにとって“素敵な場”になりそうだなと。それが総務グループらしい『P-1』なのかなと考えました。そこから、運営者である総務の僕らも最大限楽しむ、魂を込めた運営がはじまりました。

魂を込めた社内イベント運営

―魂を込めた運営とはどういうことでしょうか。

わじさん : せっかくやるからには、聞いている人もおもしろく感じて、会場全体の雰囲気が一体となって、温度感があがることが必要なんです。プレゼンの仕方によっては間延びしたり、内容が残らなかったりすることもあるんです。オーディエンスが引き込まれるプレゼンをするには、話すテンポや身振りが重要になります。 プレゼンに魂がこもっていなかったら、オーディエンスの心も動かされない。オーディエンスの心が動けば、プレゼンターの温度も上がる。会場が一体となる相乗効果はプライスレスで作り出せるんですよね。

そのために、まず運営も楽しむ、魂を込めることが重要なんです。なので参加者全員のメンターを僕がやりました。1次審査に応募いただいた37名全員と応募内容に関してSlackでやり取りをし、全員と面談も行いました。最終審査に残った9名全員とはさらに複数回個別面談をして、プレゼンの資料作り、話し方、しぐさ、抑揚など細かい部分をつめていきました。「普通にさらっと話しているそこ、めっちゃおもしろいからもっとアピールしようよ!」なんて言いながら、もちろん時間もパワーも必要だけど、魂を込めた運営をしたかったんですよ。結果、今年の『P-1』は会場が一体となり、かなり盛り上がりました。

※当日の様子がこちら

―大成功を遂げた『P-1』。でも実はすごい苦労があったとか。

わじさん : そうなんです。自然災害だから仕方ないのだけれども、大雨と台風によって2度も開催が危ぶまれる事態が起きたんです。当初、8月28日(水)に開催を予定していたのですが、福岡で記録的大雨が降って、福岡からの飛行機が欠航。結果延期になりました。延期日の9月9日(月)は前日の台風の影響で首都圏の交通網が麻痺。どうにか開催時刻にはみんな出社することができて開催することができたんです。晴れ男だったんですけど、今年はなぜか、出張に行くと記録的大雨になったりして。運営に魂を込めたけれど、天候はどうにもできませんでした。来年は天候に左右されない運営方法を導入する予定です。

伝統を受け継いで開催し続けている『お産合宿』

―ガッツリ『P-1』についてお伺いしてしまいましたが、『お産合宿』はどういう社内イベントなんですか?

わじさん : 『お産合宿』は、新しいものを作りたい人、今あるものをもっとよくしたい人が、勤務地・サービス・部署・役職・性別・人種の枠を越えて同じ屋根の下に集い、同じ釜の飯を食い、限られた時間の中で開発を行う1泊2日の開発合宿です。「もっとおもしろくできる」を産み出し、アウトプットできる絶好の機会として開催しています。『お産合宿』はどちらかというとコミュニケーションの場として開催しているところもあります。なので『Pー1』以上に、伝統を受け継いで開催し続けているイベントです。
福岡オフィスも鹿児島オフィスも東京オフィスも、参加者は全員同じ場所に集まって開発すること、1人ではなく2人以上のチームで参加すること、この二つは参加必須条件として運営しています。普段と違ったメンバーと一緒に切磋琢磨したり、日頃作りたいと思っていたものをガッツリ集中して作ることができるのが醍醐味です。

柔軟に変化していくのが重要

―ここまでイベントへ開催への熱い想いを伺ってきましたが、本題『社内イベントが10年超で続いているのってなんで』をお伺いしたいのですが・・・

わじさん :あ、そうでした。つい熱く語ってしまいましたが、僕が考えるに、イベント運営者が常にどうしたら「もっとおもしろくできる」かを考えて、自らも楽しんで運営することが重要だと思います。主催者が惰性ではなく、一生懸命楽しんで企画・運営しているから、参加するパートナーも一緒になってどうしたらおもしろくできるか考えたり、イベントを楽しんだりできるのだと思います。それによって満足度の高いものが完成して、翌年も参加したい!って思えるイベントになり継続的に開催されていくんです。

伝統や文化、土台を大切にしつつ、時代や状況にあわせて、柔軟に変化させることも重要です。例えば、昔は『お産合宿』が終わったら資料を作って発表していましたが、一昨年から実際に成果物に触れられる品評会形式にしたんです。資料作成に時間が取られるのはもったいないし、せっかくなら完成した物を実際に触ったほうがおもしろいよねというところから変化しました。そういうちょっとした部分も含めてどうしたら「もっとおもしろくできる」かを考えて、反映していけるのが長続きの秘訣ですかね。

―なるほど。伝統を大切にしつつも、みんなでおもしろくしていくという気持ちとアイデアを受け入れる柔軟さが必要なんですね。これから先ペパボのイベント、どう進化・変化させていきたいですか?

わじさん : この先どこの企業もリモートワークの導入ってどんどん加速すると思うんです。でも、『P-1』も『お産合宿』もリモートにしたくないと考えています。対面で開催することに意味があるんです。その場の空気感を体感することもイベントの大切な要素だと思うんです。もちろんリモートだからこそ「もっとおもしろくできる」イベントであれば、リモートで開催したいですね。

あとこれだけは、最後強く言いたい!「天候の荒れやすい時期の開催は避ける!」これ必須です。