BtoCサービスを提供しているペパボに欠かせないカスタマーサービスに関わる全パートナーが所属するCS室。その中で、よりカスタマーサービスの専門性を追求できる環境づくりを担っているCustomer Opsのたこ松さんともりまいさんに、Customer Opsの役割や仕事内容などを聞きました。
自己紹介
立松 貴央(たてまつ たかお)
あだ名:たこ松
Twitter:@takaotatematsu
CS室 兼 CS室 ECグループ Customer Opsチーム所属。
猫、ウイスキー、もののけ姫、Zendeskが好き。最近ハマっているのは、シュガー&バターのクレープ巡りと酸素カプセルです。
財津 麻衣(ざいつ まい)
あだ名:もりまい
Twitter:@__m5i
CS室 兼 CS室 ホスティンググループ Customer Opsチーム所属。
Two Dotsが好き。Google Maps を見ておいしそうな飲食店とかパン屋を探して行きたいリストに放り込むことにハマっています。
Customer Ops配属の経緯
- Customer OpsチームができたのはCS室発足のタイミングだと思うのですが、お二人はどのような経緯でチームに配属となったのでしょうか?
たこ松
以前カスタマーサービスとして働いていた会社でZendeskに出会い、徐々にカスタマーサービスのメンバーの人たちの業務を最適化していくような業務にシフトしていきました。
その会社では、後半、実業務から離れてみんなにもっと上手く動いてもらうためにZendeskの設定を最適化するような取り組みや、NPSの設計、ユーザーインタビューを踏まえたプロダクトの改善活動を行っていました。ここでの仕事は今の業務の礎になっていると思っています。
その後転職し、キャリアチェンジしてカスタマーサクセスの業務に従事していましたが、当時カスタマーサクセスチームが立ち上がったばかりのペパボにリファラル採用で2014年ぶりに再入社しました。
2年ほどカスタマーサクセスを行い、CS室が発足する際、Customer Opsという部門を立ち上げるからジョインして欲しいと声をかけていただいて今に至ります。
もりまい
私は2012年に入社して以来、主にホスティング事業部のカスタマーサービスや、CS部門のリーダーとして勤務してきました。
Customer Opsチームへのジョインはたこさんと同じタイミングです。
それまでもスプレッドシートで今問い合わせが何件で満足度はこれくらい、というのをまとめていたり、Zendeskからデータを取って活用するなどしていたこともあり、チームへのジョインを打診されました。
僕たちの職種名を「何をやるか」で考えたら“Customer Ops”がしっくりきた
- そもそもCustomer Opsとはどういうお仕事なのでしょうか?
たこ松
ペパボにおけるCustomer Opsは、CS室のパートナーの皆さんが顧客対応に専念できるよう、
- データ基盤の構築
- データの可視化
- 業務の自動化による効率化
- モニタリングボードの構築
- データ活用の促進
を行っています。
ただ、ペパボで言うCustomer Opsと、CS業界で言われているCS Opsは、若干毛色が違う部分があって。
もりまい
そうなんですよね。最近CS界隈で賑わっているのは、CS ops=CS Operations(カスタマー サクセス オペレーション)。私たちはCustomer(Success/Service) Operationsなんです。
- そうなんですね。知らなかったです!
もりまい
そうですよね。知らないですよね、私たちもあんまり言ってこなかった(笑)
たこさんは元々カスタマーサクセスをされていたのでそっちのバックボーンがあって、私はずっとカスタマーサービスをやっていて、二人ともデータ回りを扱っていたのでCustomer Opsとしてやっていきましょうという感じだったので、ペパボのCustomer Opsとしては経緯として珍しいとかは全然なくって、至極当然の流れだと思います。
たこ松
そういえば自分たちのことを名付けるときに結構議論したよね。
CS室にはいるけど、カスタマーサービスのこれまでの業務とも全く変わってくるから、別物であることがわかるようにしなきゃいけなくてCSエンジニアかなぁ、とか。でも、エンジニアって名乗っちゃうとそれはそれで僕らもエンジニアではないという…(苦笑)
それで「何をやるか」で考えると、業務を最適化したり、整理して基盤を整えるみたいな部分を総称して“Ops”と呼ぶなら、僕たちはCustomer Opsとするのがしっくりくるかなって。
- 取材の前に一般的な方のCS Opsのことめちゃくちゃ調べてきちゃいました(笑)
たこ松
そうですよね(苦笑)
それも入ってはいるんですけど半分っていうか…。実際、現在募集中のペパボのCustomer Opsに応募してくださる方の中にも、一般的なCS Opsと思ってらっしゃる方がいるので、名称だけを見てしまうと判断が難しいのかもしれません。今回の記事をぜひ読んでいただきたいですね。
ゼロベースで取り組む本質的な課題解決
- 実際に取り組んだ最適化や改善について教えてください
もりまい
カスタマーサービスの領域でいうと、全社で導入しているZendeskのデータの活用方法の改善です。
それまでスプレッドシートで手作業していたのですが、最初の可視化の作業さえすれば勝手にデータが更新されるようにして、問い合わせの管理作業を無くしました。
あとは、満足度とかお問い合わせが来てから返信するまでの時間をCS室のKPIとして置いていて、サービスごとに目標値を定めているんですけど、その目標値を週単位で見て下回ったときに自動でその次の週の月曜日にSlackに通知されるようにしました。
これまでモニタリングボードを見に行かないと未達なのかどうかわからなかったけど、通知がきたら要因分析をする、達成してる(通知が来ない)なら何もしなくてよくなり、業務の負荷が軽減されました。
カスタマーサクセスの領域でいくと、ホスティング部門でヘルススコアを導入することになって、計算式をSQLで書いて、お客様ごとに今どんな設定ができててみたいなのを測るスコアとしておいたものを毎日自動でできるようにして、さらにその推移も見られるようにしました。
そのスコアをカスタマーサクセス担当者が見て、スコアが落ちてるお客様にメールを送ったりできるようになりました。
たこ松
カスタマーサービス領域で言うと、SUZURIの商品不備管理業務の効率化や、Zendeskのフォームを使った業務効率化です。
商品不備管理業務は、商品不備に関するお問い合わせごとにスプレッドシートで進行管理していたのですが、管理コストがかかっていたのが課題でした。そこで、何起因の商品不備なのか、お問い合わせにラベリングをする工程を設け、そのデータをデータベースに格納する運用に切り替えました。
これで商品不備のデータについても、構造化された状態でデータを管理できるようになり、スプレッドシート上での作業や集計作業、データ分析に当てる時間をなくすことができました。
Zendeskフォームを用いた業務効率化では、お問い合わせをするとき、何について困っているかをユーザーさんに選んでもらい、問い合わせ時点での緊急度や優先度が判別できるようにしました。
その結果、簡単な内容はBotが解決まで誘導できるようにし、人が回答するよりも早く解決に導けたり、Botが解決できない問い合わせは、お問い合わせの内容に応じた優先順位を定義できるようにしています。
あとは、サポート起因からも障害をいち早く察知できるように、お問い合わせが急激に増えた時にSlackにアラートが飛んでくるような設計をしています。
カスタマーサクセス領域で言うと、SalesforceやPardotの設計や実装ですね。
これはカラーミーショップでカスタマーサクセスに従事していたときの話ですが、メールマーケティングツールのPardotを用いて、100以上のシナリオの分岐を作って自動でメールを送れるように設計、実装しました。
参照: Pardot Trailblazer Party 2020 開催レポート Vol.1 新機能アップデート & Award発表
- お話を聞いていると、全部署にOpsの方がいて欲しいという気持ちになります!(笑)
たこ松
(笑) 全社Ops的な考えとかも会社によってはあるので、ペパボの規模だったら実はもう必要なのかもしれないですね。ちなみにもりまいは全社の生産性向上プロジェクトに参加して、Ops的な役割を担ってくれていたりします。
もりまい
そうですね。
全社において生産性がどんな変化をしているかを計測する必要があるのですが、CSメンバー限定で、メール、チャット、電話それぞれの問い合わせ対応を1時間当たり何件行っているかを計算する仕組みを作って、毎日そのモニタリングボードが更新されるようにしました。
これは全社で生産性を測るために必要だったので実施しましたが、CS室のKPIとしても設定して、生産性の変化に気付いてアクションが可能なように取り組んでいます。
- 1を100にしていこうっていう仕事だと思っていたんですけど、0を1にするような仕事も多いんですね。「こうなったらいいなー」って口にしてみたら叶っちゃった、みたいな
たこ松
ドラえもんの四次元ポケットみたいだ(笑)
今の僕らの仕事の対象はサービスを利用していただくユーザーの方というよりも、日々お問い合わせ業務に取り組んでいるパートナーのみなさんなので、直接的にどんなことで困っているのかを深掘りできる環境にあるという点から、本質的な課題解決に向けたゼロベースの取り組みが行えているなと実感しています。
ドンピシャの知識はない。インプットは職種の範囲外まで幅広く
- お話を聞いていて、必要な知識が広いなぁ、と思いました。日頃から意識してインプットしていることがあれば教えてください
もりまい
Zendeskのコミュニティは定期的にチェックしています。
Zendeskはやりたいことがあれば1から全部自分たちで作らなきゃいけないんですね。だからコミュニティには、こういうことできますか?どうやりました?みたいに人も知識も集まってきます。
ちなみにたこさんは「Zendesk Community Champion」受賞の常連です!
たこ松
Zendeskほんと大好きなんです(笑)
もりまい
あと、私たちはGoogleDataStudioをよく使うので、リリースノートをウォッチするようにしています。
それと、社内外のデータアナリストやデータエンジニアの方のアウトプットを見に行って、CSで応用できることがないか探したりもしますね。
たこ松
色んなことをかじる職種なんで、ドンピシャの本とかがなくて。
だからいろいろ読んだりして情報をインプットしておかないといけないんです。
ユーザーさんがサービスを使って実現したいことに専念できるための支援を
- 今後、Customer Opsとして取り組んでいきたいことを教えてください
もりまい
データ予測をやっていきたいです。
問い合わせの数や時期、施策タイミングを総合的に加味したデータ予測ができれば、シフト作成などCSの適切な人員配置にも活用できるようになると思うので。
たこ松
先回りのサポート体制を構築していきたいっていうのが、CS室として今後未来に予定しているロードマップにあります。困ったらFAQにきて、解決できなかったらお問い合わせするっていう流れが普通ですよね。でも、そういう状況に入る方たちをデータ上で見つけられる状態ではあるんです。
だから、そういう方たちに直接連絡を取って、事前に「この設定やっておきましょう」みたいに、個々に合わせたメッセージを送って、お問い合わせに至る前に先回りのサポートを行えたらと考えています。
カスタマーサクセスでやっていたことに近いんですけど、それを人の手をかけずに自動化できればいいなと。
FAQを見ることに時間を使うことなく、ユーザーさんがペパボのサービスを使ってご自身のアウトプットを実現することに専念していただくための支援をしていきたいというのが、ちょっと先の未来で僕らが考えていることですね。
- すべてのユーザーさんを”クリエイター“と呼び、サービスを通じて支援を行うペパボのCSならではの未来図ですね!そんな未来を実現するために必要なCustomer Opsの人財はどのような人でしょうか?
もりまい
先ほどお話ししたデータ予測について、自分たちで予測モデルを作れるように勉強は進めているのですがなかなか難しくて。そういう領域が得意な方がジョインしてくれたら嬉しいなぁ。
あとは、CS領域で、どんな行動が事業へ貢献できるか、自分でロジックを組み立てて周囲を納得させた上で行動に移せる人がペパボのCustomer Opsに必要な資質かなと思います。
たこ松
サポートの視点というか、ユーザーさんへの共感力や感度が高い人ですね。
あと、例えば僕は業務の最適化だったり、もりまいはデータの可視化・構造化というように、それぞれ専門領域というか強みを持っているので、何か一つでも強みや経験を持ってらっしゃる方だと嬉しいかな。
個人的な気持ちで言うと、僕らはエンジニアではないのですが、自己開発で回しているアプリもあるので、コードが読めるとか開発の経験があるっていう人にジョインしてもらえると、チーム内でレビューができてより高みにいけるんじゃないかと思っています。
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