人事のチームでOKRをやってみた

こんにちは。GMOペパボ HR統括部の船橋です。

今回は、私たち人事の組織でOKRを試験的に導入した件について、チームOKRをどのように設定したのか、実際に取り組んでみてどうだったのか、という点を紹介します。

OKRについては、最近は書籍も多く出版され、導入企業によるブログ記事なども多く見かけるようになりました。事業運営チームやベンチャー企業での導入事例はとても参考になる記事は増えましたが、管理部門の事例は珍しいのではないでしょうか。私たちも手探りで始めてみましたが、これからOKRの導入を検討されてる人事の方に少しでもお役に立てる情報がお届けできれば、是幸いです。

なぜOKRをやってみたのか

まず一番大きなきっかけは評価制度の改定にあります。これまでActionPlanとして個々の目標を期初に設定し、達成状況に応じた評価を行っていました。しかし2020年1月からは評価の仕組みが変わり、「何を達成したか」よりも「どのように先を見据え、どのように行動し、周囲へどのような影響をもたらしているか」を重視する評価へ移行しました。これによって、パートナーの期初における具体的なアクションを言語化する目標設定が不要となりました。

ただ、組織にも個人にも目標は非常に重要な成長支援ツールであり、トップと現場のエネルギーを同じベクトルに向けるための重要なコミュニケーションツールでもあります。そこで、OKRが有益なツールとなってくれるのではないかと考えました。

また、先日弊社CDO(Chief Design Officer)に就任した @kotarok さん率いるデザイン部においては、氏のGoogleでの経験を活かしOKRを先行導入していたこともあって、社内で所々OKRの機運が高まりつつある状況にもありました。

そして何より、組織も個人も高い目標にチャレンジする体制、仕組みを構築したいと考えており、全社的にOKRを導入することがペパボの圧倒的成長に寄与してくれるのではないか、それにはまずは人事自らスモールスタートを、というのが私たちのOKRの始まりでした。

OKRをどのように設定したか

様々な書籍にも記載のあるとおり、3ヶ月スパンで設定してみることにしました。

まずは人事としてのチームOKRを設定する上で、主眼においたのは当然のことながら部長が定めた今期のテーマ「Tech×ホスピタリティにより生産性の向上」でした。Techの方に着目し、日々人事メンバーを圧迫していた業務の効率化を図るべく、1つ目の目標として設定しました。

そして、前述したとおり大きなプロジェクトである人事制度の改定が行われることが決まっていたので、そこに対するコミット目標をセット。また、採用チームでは地域採用が課題として上がっていたこともあり、3ヶ月スパンであることを意識して母集団形成にコミットする目標を設定しました。

個人OKRの設定

メンバーにとってこれが初めてのOKR体験になることや、OKRは難易度が高いものであることを事前に想定していたので、最初から大きく躓いてメンバーのモチベーションを下げる結果にはしたくはありませんでした。そのため私たちのチームでは、メンバー個人の目標は上長によるほぼほぼトップダウンで設定しました。勿論、本人の意欲も絡められるよう1on1を通じて設定に至っています。補足すると、チーム内のパートナーはジュニアクラスの等級のメンバーであったことを鑑み、トップダウンタイプに寄ったやり方となりました。

気をつけたこと

この取り組みは試験導入ではあるものの、メンバー一人ひとりが当事者意識を持って取り組むことが非常に肝要だと感じています。マネージャー陣は各人が書籍を読んで事前にOKRについて学び、ある程度の知識も持って目的やメリットを腹落ちさせた状態で目標設定と運用に臨みました。

具体的な設定の上で留意したこととしては、KRは数字を必ずセットすること。そして、トラッキングをしっかりすること。この点は事前に読んだ書籍にも書かれていたことでした。

また、新しい目標管理の導入によってチームメンバーに「通常業務のアドオン」の印象をもたせてしまう懸念があったため、まずは自分たちの業務効率化をOKRに組み込んでしまうことで、メンバーがモチベーションをもってOKRにコミットしてもらうようにしました。

参考にした文献

『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』

OKRの結果

結果としてどうだったか。具体的な達成状況は下記の結果となりました。

まずまずの達成結果(SCORE)に見えます。ただしこちら…実はチームのKRのスコア結果としては正確性に欠ける内容になっているのです。

O-1. Tech×ホスピタリティ 生産性の向上(結果:0.8)

というのも、まずO-1のKR「ルーチン業務削減10%削減」においては、何を削減するかの母数の把握を行いませんでした。時間的な削減なのか量の削減なのか、明確にできないまま1Qを終えてしまったのです。ただし、SCORE:0.8とした根拠は、個人の目標として「業務効率化」にコミットしたOKRを設定した結果の平均値をとりました。これまで行ってた業務の自動化、属人化解消を図ったことで、印象値としては10%削減は達成できたように感じています。

O-2.  地域採用の強化(結果:0.5)

こちらは、明確に計測できるKRとして設定したこともあり、チームと個人の結果も連動して明示的な結果を出すことができました。達成率が振るわなかったのは、担当者が個人OKRとして設定していたイベント開催や出張等がコロナウイルスの影響によって期間内に予定通り行えなかったことが要因にあります。

O-3. 新人事制度の運用(結果:0.9)

新人事制度はKRとして設定した理解度アンケート自体を実施しなかったため、達成率としては不正確な結果となってしました。(適切ではありませんが…)浸透を図るための説明会、資料提供、評価基準すり合わせの実施等、新制度導入フェーズとして必要な対応をほぼオンスケで実行できたことによって担当者の結果が0.9となったため、その結果をチームの結果として記載しました。

ふりかえり

1Qを終えたところで、チーム内でふりかえりを行いました。一度、期の途中でOKR導入についてチームメンバーにアンケートを実施したところ、チームおよび個人の生産性が上がったとの回答が多く、導入の手応えを得ることができました。また、OKR導入後に全社的なリモートワーク体制への移行がありましたが、勤務体制の大きな変化にも関わらず、私たちはOKRによって各人のコミットすべき仕事が明確になっていたため、体制直後の期間においてはチーム運営上のネガティブな影響がほぼ生じませんでした。こうしたOKR運用自体と、個人の目標がうまくハマったこともあり、2Q以降も引き続きOKRを実施することのコンセンサスは取れていました。

そのため、ふりかえりでは敢えてKeepよりもProblem(課題・失敗)にフォーカスして行ってみました。そうすることでより精度高くOKRを運用するための改善が図れると考えました。

▼ふりかえりの内容

ふりかえりを通して、次はどんなOKRを設定するとより自身とチームの成果につながるのか、各人がヒントを得られていたら良いな〜と期待を懐きつつ、次の目標をセットする上でひとつメンバーへメッセージを伝えました。それは『次(2Q)のOKRでは1つ上の等級を目指すにはどのような目標をセットし、行動をとることが相応しいかを意識してみてほしい』ということです。例え若手のメンバーであっても、マネージャーが引き上げることなくともメンバーが自分のストレッチゾーンがどこなのか考え、支援が必要な時は自ら手を挙げ周囲の力を借りて成果につなげる、こうした自律的な思考と動きができれば個人も組織も逞しくなっていくのではないでしょうか。

2Qに向けて

1Qのチームおよび個人のOKR設定時にも、充分考えたはずなのに今ふりかえってみると「もう同じ轍は踏むまい…」と思うところがいくつもあります。上位OKRと連動したものになっているか、ワクワクするものか、それを達成した暁には組織の圧倒的成果につながっているか、このような点に留意して設定をしたつもりでした。3ヶ月を終えると、やはり「つもり」に留まっていたことがわかります。

前段部分にも記載しましたが、当然のことながらOKRは当事者意識があってこそ導入のスタートラインに立つことができると思います。当事者意識が持てなければ、適切なOとKRの設定はできず、適切なOKRが設定されなければ、課された現場のメンバーにとってはアドオンの目標でしかなく、コミットしようもありません。そして結果につなげることもできずに、意義を見失って形骸化してしまう。だからこそ、目標設定こそが肝になるのだと、試験導入を経て改めて感じています。

『Measure What Matters』の冒頭にこんな一文がありました。

“OKRは皆さんの最も重要な目標を明確にする。全員の努力のベクトルを合わせ、協力させる。組織全体に目的意識と連帯感をもたらし、多様な活動を結びつける。”

これこそOKRの意義であり、最大のメリットです。しっかりとコミットできた組織だけが享受できる成果なのだろうと思います。

まだまだ私たちには課題があります。これを書きながらも、2QのチームOKRもチームメンバー全員の努力のベクトルを合わせ、メンバーの熱意を醸成する目標になっていただろうか、そんな一抹の不安を感じているが正直なところです。

しかし、若干の迷いや失敗を重ねながらも私たち人事自らトライをすることで、ペパボ全社が驚異的な成果を出すことのできる組織へと成長できることを目指していきたいと思っています。