FukuokaGrowthNext(フクオカ グロース ネクスト 以下、fgn.)とは、雇用創出特区である福岡市の強力な支援と地元企業との連携により、有望な人材やスタートアップ企業に対して育成プログラムの提供、グローバルアクセラレーターとの連携、資金調達機会の創出などの支援を行う官民共働型の施設です。
この2019年5月31日にリニューアルオープンした fgn.にGMOペパボ株式会社は運営事業者として参画。実際にfgn.に常駐しているペパボパートナーの二人に語ってもらいました。
川口 武将(かわぐち たけまさ)
twitter:@kwgc
社長室マネージャー。カスタマーサービスとして入社し現在は社長室で渉外や特務を担当。やたらとスニーカーを買う癖がある。
仕田原 和也(しだはら かずや)
twitter:@Elek1tor
社長室所属。このたびカスタマーサービスから初めてのジョブチェンジを経験。特技はスピーカーの自作。
実はずっとやりたいと思っていました
―――― まず、リニューアルしたFukuokaGrowthNextに、運営事業者としてGMOペパボが参画したのはどういう経緯からなのでしょうか。
川口:昨年、今回のFukuokaGrowthNextリニューアル計画が持ち上がった時に当時の運営側で「次の5年10年を見据えた運営事業者を新たに立てましょう」という話になったそうで、開設当初から運営に携わられていたメンバーから推薦していただいて、今回再スタートのタイミングで運営に参画することになりました。
開所当初から入居者としてminneのアトリエ(リニューアルに伴い2019年1月でクローズ)を運営していましたが、福岡は僕たちの創業の地だし、スタートアップ支援に力を注いでいる福岡市が市の中心部で展開する重要な拠点なので、実はもっと運営にがっつり携われたらなと常々思っていたのでありがたかったです。お話を頂いたことを社長のケンタロさんに相談したところ、「やろう!」と即答されました(笑)。
―――― 運営事業者とはどういう役割を担っているのでしょうか。
仕田原:各運営事業者は金銭的な出資もしていますし、私たち運営スタッフも常駐してフルコミットしています。一企業としての活動ではなく、福岡市と連携して福岡に根ざした企業を増やすし福岡市を盛り上げていく、というのがfgn.陣営としての明確な役割です。
それに加えて最近は起業家が増えつつある一方で、実際にプロダクトを創り支えるエンジニアなどの人材が足りない、といった問題も出てきているので、新生fgn.は人材不足解消という側面も担っています。
―――― たしかに福岡には大手企業も多く集まっているので人材も枯渇しがちかもしれませんね。
川口:狭い地域で人材の奪い合いが起きるのもあまり健全ではないと思っていて、私たちが支援した企業が福岡で成長し、同時に優秀なエンジニアやクリエイターを育てていくことでどんどん企業が大きくなれる、そして大きくなった企業が蓄えた資金を新たな地元企業や起業家に投下することで福岡という都市がさらに新しい起業家や人材が集まる場所になる、というエコシステムを作りたいなと、運営メンバーでよく話しています。
仕田原:運営事業者としてしっかりと起業家を下支えしつつ、エンジニア育成に取り組むのは、ペパボとしても積極的に取り組んでいく意義があると思っています。福岡のエンジニアを増やせばペパボでの採用も期待できますから。
ペパボの存在自体を知ってもらう機会に
―――― fgn.の取り組みとは別に、ペパボとしての狙い、みたいなものはありますか?
仕田原:運営事業者としてfgn.を運営していくっていうのは大前提なんですが、ペパボとしてのメリットも出したいですね。入居企業や訪れる起業家はITやウェブ企業だけじゃないので、私たちが今までやっていない領域の企業ともつながれます。ペパボがウェブ企業からテック企業になっていく過程での仲間づくりという視点でも、fgn.は良い場だなと思っています。
川口:まだオープン前ですけど、リニューアル前の準備段階ですでに、今までにはない企業とのつながりができているんですよね。ここでは支援すべきスタートアップ企業とも早い段階でつながれます。今年は種まきしてつながりをどんどん広げていく、っていうのを意識しています。
―――― つながることでどんなふうに広がるんでしょうか。
仕田原:まずはfgn.を通して、ペパボが福岡で活躍する企業のみなさんとつながることで、協業とか出資とか、何かしらの形でお手伝いできる企業のひとつとしてペパボが存在するっていうことを認知してもらうことが大切なんじゃないかと思います。
こちらが何かお手伝いしたいな、と思っていても相手にペパボの存在自体を知っていてもらえないと候補にすらあがりませんから。
11年間続けたカスタマーサービスをやめた結果・・・
―――― 川口さんと仕田原さんはお二人とも元々はカスタマーサービス出身ですよね。特に入社して以来11年間カスタマーサービス担当だった仕田原さんがfgn.の担当になると聞いて、とても驚きました。
仕田原:社内公募に応募してジョブチェンジしました。
2年前ぐらいに創業支援系のイベントボランティアをはじめて、その流れで自分の興味関心に沿う今回の社内公募があったので思い切って飛び込みました。
―――― 一緒に仕事をする人も社内の同僚から他社の事務局の方にかわり、日々関わっていたサービスのユーザーは入居企業へとかわって、ちょっとした転職レベルで環境が変化しているのに、とてもフィットしているように見えますね。
仕田原:自分でも不思議と違和感がないので、周りからみてもうまくフィットしてたら嬉しいですね。昨年からプライベートでカスタマーサービス担当者が集まる「CCF」というイベントの運営も手掛けているので、社外の人たちとの繋がりという意味ではそういった活動も糧になっているなと思います。
―――― 長年携わったカスタマーサービス業務が恋しくなったりは・・・?
仕田原:11年間、マネジメントも含めてひととおりどっぷりと携わってきましたから、今のところ寂しくなったりはしないですね。
―――― 職種が違うことで戸惑うことはありませんか?
仕田原:日々の定型的な業務を継続するカスタマーサービス業務と比べるとfgn.の業務内容は変化に富んでいて、個人としての調整能力が試されるなと実感しています。
もともと人と話すことが好きなので、たくさんの方とコミュニケーションを取りながら対応していくのは大変ではありますが、とてもやりがいがあります。でも、どちらの仕事も根本的な考え方はそんなに変わらないんです。もちろん必要な知識や動き方は違うんですけど、何かをやりたい人を支援するという意味では心構えは一緒かもしれない。
今までの自身の知見を生かしてその人のプラスになることを提案する、っていうのは起業家支援もカスタマーサービスの延長線上にある気がしています。
―――― 全く違う職種に見えて、共通項が多いことに気付かれたんですね。いよいよfgn.がオープンしますが、これからのお二人の役割に変化はあるのでしょうか。
川口:オープン前は入居者面談が多かったですが、オープン後はペパボが手掛ける「大名エンジニアカレッジ(※)」でのエンジニア育成や、スポンサー企業とのコミュニケーションに役割がシフトしていく感じです。
※ 大名エンジニアカレッジ:プログラミングの基礎から専門領域まで学ぶことができる講座や、製品開発やセキュリティなどに関する専門的なアドバイスを実施する教育プログラム
今後はfgn.に常駐している仕田原を頼ってくれる人を増やしたいんですよね。「とりあえず一回、仕田原さんに相談してみよっかな」ぐらいの気軽さで何でも相談できる存在になってもらいたいなと。
仕田原:全力でサポートするので、いつかは「あの人に言ったらだいたいなんとかなるな」って思ってもらえるようになりたいですね。
入居者面談で100社近くの方とお会いして、この人の考え方は世の中を変えていくかもしれない、と感じる方もいらっしゃって、私自身もオープン後の展開を本当に楽しみにしています。