GMOペパボと鹿児島、ローカルをわっぜおもしろく!

中小企業者のICT活用促進等に関する連携協定、鹿児島ユナイテッドFCのオフィシャルトップパートナー就任、大規模音楽フェス「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL」への協力など、2019年2月の「GMOペパボ 鹿児島オフィス(以下、鹿児島オフィス)」開設以降、鹿児島でのさまざまな取り組みをおこなっています。 施策の背景や、これからどんな展開を見せていくのかきになりますよね。今回のHRブログインタビューは、ペパボと鹿児島の取組について、社長室の北さんにお話しを聞いてみました。

北 文人(きた ふみと)
Twitter:@fumito777
あだ名:きた
社長室ディレクター。最近地方にある良いものを発見してお取り寄せすることにはまっています。

上手にアウトプットできてない街の課題

ー まずはじめに、北さんについて教えてください。

北:
2019年の1月にペパボに入社して、社長室でディレクターをしています。その他にTHE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL( ザ・グレート・サツマニアン・ヘスティバル)の発起人の1人であり実行委員をしています。

ーTHE GREAT SATSUMANIAN HESTIVALとは?

北:
鹿児島県鹿児島市の桜島で毎年10月に開催されている 大規模音楽フェスティバルです。2日間で約60組が出演、動員は3万人を超えています。2018年に第一回目を開催し、今年10月17日・18日に3回目の開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により開催が中止になりました。クラウドファンディングの成功などもあり2021年の開催決定が既に発表されています。(※鹿児島では火山灰のことを「へ」と呼ぶ方言があり、数多くあるフェスとの差別化の意味も含め「ヘスティバル」と名付けられました。)

ーヘスの発起人というのは凄いですね。どうして開催しようと思ったのですか?

北:
私は鹿児島県鹿児島市出身で、もともと音楽が好きで中学時代から20代後半くらまでバンドをやっていました。東京のライブハウスに憧れて、大学進学にかこつけて上京しました。

2004年に地元鹿児島の桜島で鹿児島出身の大物ミュージシャンのオールナイトライブが開催されるということで、東京から帰省し参加したんですが、凄い数の人が地元に集まっていて、街は活気に満ちていました。
その頃の鹿児島は若者がどんどん離れていき活気がなくなってきている感があったんですが、地元鹿児島がミュージシャンの力でありえないくらい盛り上がっていたんです。地元の食材を使った500円くらいのお弁当だったと思うんですけど、その時ライブ会場で食べたお弁当が、他のどのフェス飯より凄くおいしくって…それに鹿児島で暮らしていた時は身近すぎて何も感じていなかった桜島の雄大さ、ロケーションの素晴らしさにも気が付くことができたんです。

ライブイベントによる地方の盛り上がりに感動した一方、素晴らしい食やロケーションがあるのに上手にアウトプットできてない街の課題に対して、東京に戻ってからずっともやもやがあって、何か地元に貢献できることはないかと考えて、鹿児島に経済的にも文化的にも貢献できる大型フェスを企画し実施したいと思うに至りました。

しかしながら、自分はイベンターとしてはド素人で開催までは10年以上の歳月がかかりました。それでも、鹿児島、福岡、東京の多くのプロフェッショナルの方々のお力によりヘスの開催を実現することができました。同じく発起人であるトランペッターのタブゾンビさん(SOIL&”PIMP”SESSIONS)をはじめ、鹿児島、福岡、東京の多くのプロフェッショナルの方々のお力によりヘスの開催を実現することができました。

雄大な桜島をバックにしたフォトスポット
薩摩・大隅と鹿児島の地名からネーミングされたメインステージ

プレゼンス向上に繋がる関係性づくり

ーペパボにはどういった経緯で入社されたのですか?

北:
地元鹿児島を盛り上げることとして、ヘスの実施とは別に、エフエム鹿児島さんに企画を持ち込み「SEA SIDE ZOMBIE」というラジオ番組のディレクションもやっていたんです。 このラジオは、地元に根付いているメディアから継続して情報を発信する事で、フェスの実現に向けて仲間づくりができると考えてはじめました。様々な分野で活躍する鹿児島にゆかりのある方にゲスト出演いただく中で、ペパボの社長のケンタロさんが鹿児島出身と知り出演いただいたのが、最初のきっかけです。

その時はペパボに入社することは考えていなかったのですが、福岡の 官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」への参画や クリエイターさんと一緒になって作り上げていく様々なサービス展開を外から見ていて、自分がやりたい事と思いが近くて、自らの強みを最大限に活かせると思い入社を希望しました。

ー そうだったのですね。北さんの今のお仕事内容は?

北:
地方でのペパボのプレゼンス向上に繋がるコミュニティや関係性づくりがメインです。関係性の構築先は大きく分けて次の5つになります。

1.行政
2.大学など教育機関
3.制作会社(各サービスの取次店など)
4.地方で活躍されているクリエイターさん
5.ローカルメディア

地方で活躍するクリエイターさんや企業・団体、行政等との関係構築・コミュニティ形成は、地方でのイベントやセミナーの企画・運営、メディア露出を通じて行います。ペパボのプレゼンスが高まることで、採用や会社・サービスの認知拡大へとつなげることを目指しています。

ペパボと鹿児島の取り組み

ー具体的にこれまでどんな取り組みをしてきたのでしょうか。

北:
2019年2月1日(金)に鹿児島県鹿児島市にエンジニアの新拠点として鹿児島オフィスを開設しました。
オフィス開設の目的は、サービスの規模拡大に伴い開発の効率化や安定性の向上を図るための専門的な技術をもつエンジニア拠点の新たな立ち上げと、優秀なエンジニアの採用と育成です。
鹿児島市は、福岡オフィスやスタートアップ事業の機運高まる福岡市からのアクセスも良い上、豊かな歴史や文化を背景に、優秀な人材を育む風土があることも大きな決め手となりました。
オフィス開設後は、地元のクリエイターさんやエンジニアさんに発表の場や学びの場を提供することで企業価値を高めるとともに、地方創生に繋がる事例を積み上げていくことに注力しています。
そのことが中長期的にペパボの強みとなっていき、その結果として採用やサービスの認知拡大に貢献できると考えています。

鹿児島オフィスのウインドウにはペパボのサービスロゴが掲出

鹿児島オフィス設立

鹿児島オフィスは、鹿児島で一番大きな主要駅、鹿児島中央駅から徒歩約8分の鹿児島大学に向かう中間地点にあります。 通学途中の学生さんの目に止まりやすい場所で、ビルの側面にはGMOペパボの看板が 大きく掲出されています。
オフィス内は執務室とイベントスペースに分かれていて、イベントスペースでは地域のエンジニアさんとの勉強会、「カラーミーショップ」や「minne」のセミナー、ワークショップなども開催されています。

オフィスを設立したことにより、地元のエンジニアさんやクリエイターさんとのコミュニケーション機会が増えました。また、東京と変わらない環境を作り出せたので、地元の雇用創出にもつながっています。

イベントスペースで開催された地域の方も参加頂いたイベントの様子

鹿児島ユナイテッドFCとオフィシャルトップパートナー契約を締結

2019、20年と継続して、鹿児島ユナイテッドFCとオフィシャルトップパートナーに就任しています。2019年9月28日には、白波スタジアムにてGMOペパボスペシャルマッチを開催しました。
地元に根付いたプロスポーツクラブのスポンサードをする事で、鹿児島県内での知名度向上や信頼を得ることができました。

鹿児島ユナイテッドFCイレブン(2019年当時)
スペシャルマッチでのケンタロさんと松山副市長、
ゆないくー(鹿児島ユナイテッドFCのマスコット)とロリポおじさんも

「SUZURI」でのグッズ展開

鹿児島ユナイテッドFCへのIT支援の一環として、「SUZURI」内に、鹿児島ユナイテッドFC公式グッズショップをオープンしました。これにより鹿児島ユナイテッドFCの「SUZURI」限定グッズを購入できるようになりました。 さらに、全国のクリエイターさんとコラボした「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019」のグッズショップもオープン(2019年7月31日までの期間限定)し、ヘスの盛り上がりに一役買うだけでなく、クリエイターの活躍の場を創出することができました。このことで、地元のクリエイターさんに「SUZURI」をご活用いただく機会が増えました。

鹿児島ユナイテッドFC公式グッズ

鹿児島市の中小企業者のICT活用促進等に関する連携協定

地方には特産品や伝統工芸品など魅力ある素材が豊富にありますが、上手にブランディングしたりEC等での販路拡大などICTを効果的に活用できていない事業者さんも少なくありません。ペパボの持つテクノロジーの力を活用しICTを促進するお手伝いをすることで、地域活性化の一助を担うことが可能だと考えています。そこで 鹿児島市の中小企業者のICT活用促進等に関する連携協定 を締結しました。

これらの取り組みを地元メディアさんにも可能な限り取り上げていただき、多くの方々にICTを活用する事で地方都市の可能性が飛躍的に伸びる事に気づいていただくべく、自らのアクションに対してのPR活動も 積極的に行っています。

締結式の模様は鹿児島の全テレビ局や新聞で報道

鹿児島市の取り組み「ゼロカーボンシティかごしま」への協力

鹿児島市とパートナー企業間でCO2削減の取り組みについて情報交換しアウトプットしていく事で環境について市民の方々に啓蒙していく取り組みが「ゼロカーボンシティかごしま」です。 リモートワークを基本とする働き方をしているペパボでは、ペーパーレス化や通勤回数の削減など、結果として環境に配慮できている取り組みも多くあり、パートナー企業として様々な情報を提供できると考えています。

市電「ゼロカーボンシティかごしま号」出発式

『鹿児島県新型コロナウイルスまとめサイト』の制作に協力

鹿児島県内の新型コロナウイルス感染症対策に関する情報をまとめたサイト『鹿児島県新型コロナウイルスまとめサイト(通称:COVID-19 KAGOSHIMA)』の制作に レンタルサーバー「ロリポップ!」とドメイン取得サービス「ムームードメイン」の無償提供と、ペパボのエンジニアによる開発支援を通じて協力しました。

 『鹿児島県新型コロナウイルスまとめサイト』は、東京都がGitHub上で公開した「新型コロナウイルス感染症対策サイト」のソースコードをもとに、鹿児島にゆかりのあるエンジニアやデザイナー、メディア関係者や自治体職員などの有志によって開発・運営されています。この取り組みは、地元の有志の方々とペパボのエンジニアをSNSを通して繋いだことがきっかけとなり実現しました。
新型コロナウイルスの感染拡大という不安の中、地元の方々に視覚的にわかりやすい情報を提供することができました。
この取り組みは地元メディアさんに取り上げていただきペパボの認知度向上につながりました。

鹿児島オフィス、オンライン採用イベント

これまで、鹿児島オフィスはエンジニアの開発拠点という位置付けでしたが、 2020年6月にリモートワークを基本とする勤務体制へ移行したことを受けて、 デザイナーやディレクター、CSなど、あらゆる職種で鹿児島オフィスでの採用が可能になりました。9月に開催した鹿児島オフィスのオンライン採用イベントには、鹿児島県内在住の方はもちろん、県外で暮らしているUIターンを考えている方など幅広い方々に参加いただきました。リモートワークでの働き方により、地方に優秀な人材が集まったり、新たな産業を創出していける可能性がより高まるのではないかと考えています。

ーさまざまな取り組みを進める中で、大変だったことはありますか?

北:
そうですね。地方都市での採用活動やペパボのサービス利用の促進、協業など視野に入れた取り組みを地方で展開することは、実は難しくて、地域ごとに独特の文化があり、考え方の違いなどにより県外から持ち込まれたプロジェクトが地方都市で思うように進まない事象が様々な場所で見られます。それら課題をうまく解決するには地の利があることが重要になるんですよね。
ケンタロさんが鹿児島出身であるということも大きな強みの一つと考えています。また、私自身もヘスの運営などで育んできた地元の方々との強いつながりがあります。

ローカルをわっぜおもしろく!

ー鹿児島とペパボの取り組みについて今後の展望を教えてください。

北:
提携する地域数を短期間でどんどん増やしていくのではなく、官民一体となった地方創生SDGsに繋がる圧倒的な成功事例をまずは地の利のある鹿児島で実現させたいですね。それが実現できたあかつきには、九州そして日本各地に良きスパイラルでペパボの影響力を広げていきたいです。

ー最後にぜひ、鹿児島弁でひとこと!

北:
泣こよか、ひっ飛べ、きばっどー!
( あれこれ悩まずまず行動しよう。頑張るぞ ! )

ー 日本全国での取り組みをわっぜたのしみにしています!本日はありがとうございました。