GMOペパボ 代表取締役社長 佐藤 健太郎の考えるサステナビリティ。「あらゆる障壁を取り除き自由に表現できる環境をすべての人へ」

SDGsというキーワードをよく耳にするようになった昨今。今回のHRブログでは、社長のケンタロさんにペパボのサステナビリティや多様性についてどのように考えているか聞いてみました。

自己紹介

佐藤 健太郎(さとう けんたろう)
あだ名:ケンタロ
twitter: @kentarow

表現活動を支援し続けることが、サステナビリティへの取り組みに繋がる

ーGMOペパボとしてサステナビリティ活動をはじめたきっかけや、意識し始めたのはいつ頃ですか

ケンタロ:これまでも、事業を継続する中で関連する取り組みはしてましたが、ESG/SDGs活動について外部に向けて本格的にアクションを発信し始めたのは、東証一部に市場変更した頃からです。

それまでは、どちらかというと事業成長やインターネット産業を発展させていくことを重要なミッションと考えていたし、外部からも求められていたと思いますが、2019年にJASDAQから東証二部へ、2020年に東証一部へ銘柄指定を受け、日本を代表する銘柄、企業としての活動意義や社会的責任をより強く自覚するようになりました。事業規模の拡大とともに、社会的なポジションが変わる中で、企業としてサステナビリティ活動に取り組み、発信することが必要になってきたと感じています。

ーケンタロさん自身は以前からサステナビリティを意識していたんでしょうか

ケンタロ:
もちろん意識してました。2015年にSDGsが設定されて、世の中に浸透してきたのは2019年くらいでしょうか。

最近は、ダイバーシティや多様性などの対応についてよく見聞きするようになったし、例えば、企業や個人でそういったものを意識しない活動や言動が見られたときに、批判的な文脈で語られるようになってきたことで、個人的にも当たり前なこととして意識することの必要性を感じるようになりました。

ーGMOペパボにとってのサステナビリティとはなんだと思いますか

ケンタロ:
大事なのは表現活動を支援し続けることかな、と考えています。

GMOペパボの創業事業であるホスティングサービスの「ロリポップ!」は、自分達も含めて、個人の人達ももっと気軽にインターネット上で表現活動をしてくれればいいな、という思いからサービスが始まっているし、その後に立ち上げた「カラーミーショップ」もネットショップを作りたいっていうユーザーがいっぱいいたことがきっかけで始まったサービスなんですよね。

その流れの中で、インターネットがどんどん発展していって、ネットの人口普及率は拡大していきました。インターネット上での表現活動も「趣味」の領域から、「生業」や「スキル」になって、クリエイターの人達の表現活動が広く、積極的になってきたことで、ペパボのビジネスの領域も拡大して、事業環境が大きく変わってきました。クリエイターの表現活動とともに自分達のビジネスも発展させて、さらに活動領域や影響範囲が広がっていく、この循環こそがGMOペパボのサステナビリティと言えるんじゃないかと思います。

また、GMOペパボが現状提供しているサービスは、ユーザーがアウトプットするためのインフラとかツールなので、我々自身もユーザーと共に成長していかないといけないし、ユーザーがそういうことに配慮するのをサポートすることで、自然にサステナビリティに繋がっていくことが重要だと考えています。

ーGMOペパボのサービスを通して表現者を支援することを大事にしていて、それが事業として拡大していったということですが、そのきっかけはいつ頃あったんでしょうか

ケンタロ:
2012年に企業ミッションを現在の「インターネットで可能性をつなげる、ひろげる」に変えたのが、1つの大きなタイミングでした。それまでは個人の表現を支援することがサービスの軸でしたが、ユーザーがインターネット上での「表現」に留まらず、その先にも規模が拡張されていく状況に対して、我々も事業を転換、拡張して表現活動の「その先」まで支援をして行こうという思いがミッションを変えた背景としてありました。それをきっかけに「SUZURI」や「minne」など、より直接的にクリエイターの表現活動を支援する新しいサービスも生まれました。

サステナビリティの実現にむけて、取り組むべき重要課題とは

ー先程もアウトプットというキーワードがでましたが、ペパボとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)についてはどう考えてますか

ケンタロ:
例えば、自分がホームページを作ったりとかSNSを使ったりして、インターネット上でアウトプットしているのって、元々自分の中に存在している「目立ちたいから」という気持ちからだったりするんです。

一般的にクリエイターと呼ばれる音楽やアートの世界で表現活動をしている人達も、活動を続ける上では、何かしらのモチベーションであったり気持ちだったりがそこには存在していると思うんですよね。ペパボの事業活動の根底には、趣味でも仕事でも、どんな人でもアウトプットし続けられるように、その環境を提供したいという思いがあります。アウトプットのハードルは、場所や技術、お金だったり様々あると思いますが、その障壁をいかに取り払うことができるかが、我々が事業に取り組む上でのコンセプトであり重要な課題です。そういった意味でも、自分自身はもちろん、ペパボで働くパートナーのみんなも、そしてサステナビリティにおける重要課題としても「アウトプットを増やす」ことを意識していると思います。

ーなるほど。表現者を支援することから重要課題としての「アウトプットを増やす」に繋がっていくんですね
 鹿児島や地方自治体との連携も最近強化されていると思いますが、なぜそういった取り組みをされるんですか

ケンタロ:
インターネットを通じた経済活動はどの産業でも当たり前になっていくと思いますが、様々な環境変化に対して、我々のテクノロジーやプロダクトの影響範囲を広げていきたいと思っています。

地方都市でも新しくECを始める事業者が増えていますが、一方で、人手不足や知識、技術がなくてIT化を進められず今後の商売の在り方について悩まれている事業者の方も多くいると思うんですよね。そういった方々が抱える課題に対して、ちゃんと解決方法を示して、チャレンジしたい気持ちを具現化できる適切な環境を提供することが我々が取り組むべきことだと思っています。この取り組みが鹿児島など地方の支援に繋がっていて、今はまだ限定的ですが、今後仕組み化して他の地域にも展開していきたいです。

ーサステナビリティに取り組む上では「環境」も大事な要素だと思いますが、そのあたりのはどう考えていますか

ケンタロ:
環境については、具体的に言及できる取り組みはまだまだ不足があります。ただ、我々がテクノロジーを応用してプロダクトを通じた価値提供をしているという観点からいうと、「SUZURI」は、大量にモノを生産して廃棄する状況から、オンデマンドでモノが作れて、在庫を持たなくても済むようなツールとして環境の負荷を下げるようなアプローチが出来ていると思っています。今後は、アイテム自体も環境負荷が低いものを提供していければいいなと考えています。

また、我々が提供しているECの領域で言うと、配送や梱包の問題などまだまだ改善できる余地はあると思っています。環境にやさしい梱包資材や配送方法の提供が出来るようになれば、環境配慮の取り組みの影響範囲を広げることができますし、全体としても調和が取れていくので、取り組んでいくべき領域であると考えています。

ー企業経営を継続する上では「ガバナンス」の強化についても課題だと思うのですが、こちらはどう考えていますか

ケンタロ:
ガバナンスは組織が成長していく上で欠かせないものだと考えています。今後も様々な社会的要請に対して、責任を果たしていく必要があるし、なにより不正が起きないようにすることが大事だと思っています。経営課題に対してリスクを考慮した上で、適切な意思決定ができるような体制を作ることが、ガバナンスを構築していく上で重要です。

現体制も、当然ですが自分達の意思決定が恣意的な物事で働くような構成にはなっていませんし、取締役は様々な専門性のあるメンバーによって構成しており、しっかり機能しています。適切な決断が出来ずに、企業価値を上げるための機会を逸失してしまうことがないよう、ガバナンス体制の強化は常に意識をしています。

価値観や多様性に囚われすぎない、変化に対応できる人財

ー企業にとって人的資本は重要な課題だと思いますが、ペパボではどのような人財を意識しているのでしょうか

ケンタロ:
様々な立場の人が活躍できる社会をテクノロジーで作っていくことが、我々が進むべき方向だと考えています。例えば住んでいる場所や身体的なことだったり、育児や介護などのご事情を抱えている人達でも、テクノロジーを利用すれば誰でも活躍できるような社会を目指したいです。それはサービスを通じた影響だけではなくペパボの中においても同じで、働き方や価値観の多様性を包含した組織を構築しています。

ーサービスを運営しているパートナーの働き方や価値観に多様性がなければユーザーのことを考えたサービスは提供できませんよね。ではどのようなマインドのパートナーと一緒に働きたいですか

ケンタロ:
技術や能力の高さより、新しい価値観に対していかに興味を持って前向きに捉えることができるかが重要かなと。技術や社会情勢が変われば当然価値観も変化します。いろいろな変化を受け入れてきたその結果が、今のような多様性を認める社会になっているわけです。ペパボのパートナーには変化や多様性を受け入れていく流れの中で、技術に対する関心や世の中の動きに対しての感度も自然に高められるマインドを持っていて欲しいですね。

ー過去の考え方に囚われ過ぎず、常にアップデートできる人じゃないといけないということですね

ケンタロ:
そうですね。人類の歴史の中で、少しずつ、ゆっくりと進んでいた変化のスピードがここ20年くらいで劇的に上がっていると言われてますが、それはインターネットの影響が大きいと考えています。過去、100年〜200年くらいかけて進歩してきた技術革新や価値観が、5年から10年のスパンで一気にいろいろと変化していて。今までは世代が変わっていくことを経て変化していた価値観が、今は、1人の人が人生の中で何回も価値観のアップデートを求められている状況かなと思うんです。

だから自社のサービスも「今までこうだったから」といった既成概念やバイアスを取り払っていかないと、新しい時代に対応できなかったり、新しいものを生みだせなかったりする。「こうあるべき」という意識に囚われて適切な行動をとれない人は結構多いんですよね。

発展が予測される技術がコモディティ化するまでって、やっぱり5年10年くらいスパンが存在して、例えば、開発費用もリーズナブルになって技術も一般化したタイミングだったら上手くいくことも、タイミングを見誤って焦って初期投資をした場合に、市場の普及速度が伴わなかったらその事業は捨てたことになってしまう。

でも、今はまだ早すぎると思われていることでも、ちゃんと時間軸を見て、未来を予測をすることで、戦略的に考えて適切なタイミングで速やかに対応できる。そうやって常に備えておくことが大事かなと思いますね。

サステナビリティの本質を考え、表現者を支援し続ける

ー最後に一言、いただけますか?

ケンタロ:
先程言ったように、今後5年10年を考えていくと、サステナブルな事業運営やサービス運営自体は当たり前に変わっていくと思います。そこを見越して今何をすればいいのかを考えたいし、逆に言葉だけに踊らされてしまって本質ではないことをする必要はないんじゃないかな。例えば良質なサービスを継続させること自体もサステナビリティだと、僕は思います。

今後もGMOペパボが運営しているサービスが、表現者を支援し、自由に表現できる環境を創り続けることで、結果としてサステナブルな社会を構築することに繋がっていく。これが正しい形だと思うんです。

サービスを提供する中で物事が自然と出来上がっていくのが重要なんじゃないかと思うし、そういった目線で考えていけるような組織でありたいです。