こんにちは、GMOペパボ CS室 Customer Opsの立松です。
ペパボでは全社でOKRの導入が始まり、私の所属するCS室においても、導入前のトライアル期間を含めると運用開始から1年ほど経過しました。そこで今回はOKR運用についてご紹介します。
立松貴央(たてまつたかお)
あだ名:たこ松
Twitter: @takaotatematsu
CS室 Customer Ops
🎖 Zendesk Community Champion 2018,2019,2021
🎖 Pardot Trailblazer Award 2020受賞
もののけ姫、ウィスキー、ITS健保のことに常に気を配って生きています。最近は、酸素カプセルにどハマり中。
CS室 Customer Opsの紹介
CS室という部署に、私は在籍しているのですが、この部署は「カスタマーサポート(CS)」「カスタマーサクセス(CS)」の活動を業務範囲としています。
そして、それらCSの取り組みを推進するうえで、CSデータ基盤の構築・業務の自動化は欠かせません。
Customer Opsでは主に、CSの取り組みを支援する屋台骨の役割として発足しました。
現在のCS室の組織図は次の通りです。大きく「ホスティング」「EC」「minne」という3つのグループに分かれ、それぞれのグループに各部署が配置されています。
どんなOKRを置いて活動しているか
次に、Customer OpsチームのOKRについてご紹介します。
CS室では、数年先まで見据えた長期的なロードマップの作成を行い、CS室全体のOKRを定めたうえで、各部門別にOKRを設定しています。
次のスライドに示すのがCustomer Opsチームの2021年のビジョン・ミッション・Objectivesです。
ビジョンについて
Opsの活動は、カスタマーサポート(QCチーム)および、カスタマーサクセスの活動支援の役割が強く、Opsで実施した施策のコアターゲットは、CS室で働くパートナーたちになります。
その全員がより個々の専門性を追求していけるような環境作りを整えることをビジョンとしています。
ミッションについて
ミッションは各クオーターごとに決めて活動しています。
Objectiveについて
私の個人的な理解ですが、OKRは次のように理解しています。
O・・・どこに行くか
KR・・・そこにたどり着いたとどうわかるか
KRについては、「活動指標」ではなく「結果指標」をできる限り使う
(OKRについての考察はすでに多数の記事・書籍も出ているのでここでは割愛します。)
Opsの主な活動内容は次の通りです。
- CS室で取り扱うデータの構造化、ETL
- QC/サクセスチームから依頼をいただくツールの導入相談の対応
- 稼働中のワークフローの最適化
- 新たな計測指標の発見
それぞれ、まったく別の取り組みになる都合上、Objectiveは1つに絞らず、各Qごと少なくとも3つ以上のObjectiveを有して活動しています。
Key Resultsについて
次のスライドは、2021年Q3のOKRにフォーカスしたものになります。Key Relutsには定量的に判断可能な指標を見つけそれを用いています。
また、KRの中にはさらに細かな個別の活動計画が存在しています。それらを俯瞰して見られるクオーターごとのロードマップも作成し日々振り返り活動に生かしてします。
OKRで発生する定常業務
OKRの活動を進めるには、日々の定常業務が生まれます。実際にOKR関係の活動をリスト化してみたところ次の通りとなりました。
これらの活動ひとつひとつに大事な意味がありますが、今回はその中でも、ウィンセッションとKPT記入について紹介します。
ウィンセッションの運用
ウィンセッションとは、「できたこと・良かったことを承認・称賛しあう」OKR活動の一環です。
Opsでは、ウィンセッションを始めるにあたり、次の前提と課題がありました。
前提
Opsは3人のチームで、これまで一切関わることがない別々のグループに所属していた人々です。そしてリモートワークがメインのため、物理的な会話もほとんど存在しません。
2020年に立ち上がったOpsに3人一斉に席を移しつつも、取り組む業務範囲は、引き続き各所属グループのOps活動を行います。結果、活動内容はバラバラなので不干渉なことが多いです。
課題
- 3人とも相手が何をしているのかまったくわからない状態
- 各自がどんな活動をしているのかは、なかなか把握することが難しく、何にたくさん汗をかいたのか、何に達成感を味わったのかを想像することが難しい。
- 同じグループに在籍するメンバー同士ならば、「そういえばあのときのあの活動すごく良かったね!」みたいな会話が成り立ちやすいのですが、業務範囲が異なるため、互いを褒め合うだけの情報を知る術がありません。
- 毎日取り組む業務内容が変わるような部署ということもあり、週末になると「月曜日何した?」みたいなことにも陥ってしまう
ウィンセッションの進め方 – KPTを用いて始めてみた
このような前提と課題を解決するために着目したのが、毎日業務終わりの時間に近づいたときに、その日中にその日の気持ちを記録しておくという活動です。いわば日報ですね。
我々は、ウィンセッションの運用に最適化するため、日報の形式ではなくKPTの形式で情報を集めるようにしました。Keepの項目は「その日の活動で良かったこと」と置き換えて利用しています。
具体的なフローは、Slackとスプレッドシート、データポータルを併用して行っています。
17時になると各メンバーに「振り返りを記録しよう」とメッセージが飛ぶようなワークフローをSlackで設定します。
ワークフロー経由で、自分の今日のKPTを記入します。
記入した内容は、Slackとスプレッドシートのインテグレーションが存在するので、それを用いて、スプレッドシートに書き込みを行います。
この記入を毎日繰り返します。
そしてウィンセッション当日です。書き込んだ内容はスプレッドシートに貯まっています。
スプレッドシートはデータポータルとの相性が抜群です。
次のようなボードが簡単に作成できるので、各自のやったことを一覧で並べて見ることができます。
ウィンセッションでは、このボードを開き、各自のKeepについて書いてくれたことをしゃべり・聞いてお互いの今週の経験値を認め合い、来週の活力に生かしています。
この運用を始めてから、自分が書いたKeepを読めば、そのときの記憶を呼び起こすに十分な情報が個々に貯まっているので、話す内容も今まで以上に具体性が増して密度の高いセッションができるようになったと感じています。
ウィンセッションをやってみた感触
このようにウィンセッションを進めてきて、感じたことは次の通りです。
良かったこと
- 数値進捗でのみ語る渋めなチェックインに比べ、仲間同士で活動してる!という意識を強く持つきっかけ作りの時間になりました。
- 通常業務の中には、OKR外の突発的な事案もたびたび発生します。そういったOKRではケアできないような内容は、ここに書いて記録することで、その活動をチーム内では認め合い・感謝し合えるような組織でいられるようになりました。
- 副次的ですが、日々のKPTの内容は記録と同時にSlackにも流れるように設定しているので、機会の創出にもつながりました。
悩みポイント
- 「書くことにも疲れちゃう日」ってありますよね。。また、定常業務が逆に落ち着くと特に書くことも見つからない日が発生してしまうこと。
試行錯誤しながら実践しているOKRですが、得られるメリットも多いです。今後も、OKRの運用を続け、チーム、会社の組織力の向上につなげていきます。