OKRを全社導入した話

こんにちは。GMOペパボ HR統括部の太田です。

ペパボでは、2021年1月から全社でOKRを導入し、運用を開始しました。今回は、導入までの取り組みや運用するうえで工夫していること、今後の展望等についてお話しさせていただきます。

OKR全社導入の背景

2020年1月から人事制度を刷新し(※1)、全職種共通の等級要件を元に、各自の等級に定められている要件の充足程度に応じて評価するかたちになりました。

従前は、個々が期初に立てた目標の達成度合と各等級毎に定められた要件に対する達成程度で評価をしていたのですが、新しい評価制度では、個人の目標設定が任意となりました。

そのため、会社の中長期目標に対し、個々のベクトルをあわせ、成果を出すための仕組みの導入が必要ではないかという話になり、2019年秋頃から、組織的な目標管理のための仕組みであるOKRの導入を検討し始めました。

※1:「ペパボ新人事制度について」

導入に至るまでの流れ

導入するにあたり、まずはHRからトライアルを始め(※2)、その効果や課題、ボトルネックになりそうな点等を洗い出し、2020年1月から準備を進めていきました。

※2:「人事のチームでOKRをやってみた」

トライアルの中で、運用がうまくいかない要因として、適切なOKRを設定できていなかったことが挙げられ、目標設定の難しさと重要性を改めて感じました。また、新しい評価制度に切り替えて間もないタイミングであったことから、全社に展開するにあたり(OKRという)新たな仕組みを取り入れるチームやパートナー(社員)の負荷を軽減しスムーズな導入を図るために、本導入前にチーム毎にOKRを設定してみるワークショップを実施しました。

株式会社タバネルの奥田様に導入のご支援をしていただきました。

当日のワークショップの構成は、部門の来期方針をトップOKRとし、そこから紐づくチームOKRをチームメンバーで話し合い、決定したものを発表するといった内容で行いました。ワークショップはZoomを利用したオンライン開催とし、各回参加者数30人程度で全11回実施しました。

ワークショップ実施後のアンケートでは、回答者の90%以上が「OKRについての理解度が上がった」「OKR導入によって、組織で高い目標にチャレンジすることに期待が持てた」と答えており、OKR導入の下地ができたと感じた一方で、「ワークショップで流れはわかったが、うまく設定できるかまだ自信が持てない」「定期的な社内MTGが増えていくことで業務割合が増えてしまいそうで心配」等の不安の声も寄せられたため、しっかり運用ができるよう仕組みを構築する必要があると感じました。

OKRの運用方法

ペパボは事業セグメント毎に部門が分かれており、統一した短期スパンでのOKRの運用が難しく、各部門のOKRを最上位として定め、展開していくことになりました。

その他、運用においてOKRはあくまで目標設定・管理のための手法であることから、その達成度は評価へ反映させないことにしました。また、個人単位でのOKR設定は、組織の規模や動き方によって必要性が変わってくるため、各部門で必要だと判断した場合に設定することにしました。

なお、各部門やチームのOKR設定と進捗状況は全社公開されており、社内パートナーであればだれでも見ることができるようになっています。

進捗確認のためのツールは、事前にHRでGoogleスプレッドシートのフォーマットを用意していましたが、社内のデザイナーがNotionでフォーマットを作ってくれて、現在はチームで使いやすいほうを選んでもらっています。

NotionのOKRテンプレート

運用するうえで工夫していること

導入前に実施したワークショップのアンケート結果で、実際にOKRをやってみて出た課題やその改善策等のナレッジを共有して欲しいという声が多かったため、OKRについての情報交換の場としてSlackに専用のオープンチャンネルを作成しました。さらに、成功や失敗事例を発表し合う「OKR Talk」という勉強会を定期的に開催しています。

準備段階の2020年9月と導入後の今年の3月の2回開催し、開催後のアンケートでは「他チームの様子が聞けて良かった」「各チームの工夫が見られて良かった」等の声が聞け、現場での運用に役立ててもらってます。

当日の様子は動画にし、参加できなかったパートナーも見られるようにしています。

運用開始から、第一四半期を終えて

導入後HRでは、全社のOKR運用状況を把握し、適切な支援が行えるよう「1年後に全部門が自走できるためにはどのような状態であるべきか」を定義し、四半期ごとに各部門長へヒヤリングを行っています。

「自走」とはどんな状態であるのか、「設定」「目標難易度」「行動」の3つを軸にチェック項目を策定し、各部門の進捗状況を確認しています。

第一四半期が終わるタイミングで実施したヒヤリングでは、チェック項目の「〇」の数は平均4個(最大7個)という結果でした。部門の規模やサービスのフェーズにより、課題となっている部分は様々でしたが、「今までのやり方に組み込むのが難しい」「100%達成に慣れているので、ストレッチ目標の設定の仕方が難しい」等の声が聞かれました。

良かった点としては、「チーム体制を変更し、今までのやり方を変えなければならなかったのでOKRが有効だった」「個人の成果がどうチームに貢献してるかが可視化され、メンバーのモチベーションがあがった」等がありました。

今後の展望

導入から1年後のゴールを「2022年第一四半期から全部署が自走できる状態」と設定しているので、まずは現在の施策を進めつつ、課題を抽出し、自走ができる状態を目指し対策を講じていきます。

その中でペパボにフィットするOKRのかたちを見つけ、新規入社者が入社後すぐにチームのOKRに参加できるよう、ガイドラインの作成や研修の実施等の仕組み化を考えています。

ペパボが手掛けているサービスや事業を取り巻く環境から、常に新しい情報に触れ、考え方や目的に対する手法は最適解を探り柔軟に対応する必要があると考えています。また、私たちは2025年までの高い目標に向かって全員で動いているため(※3)、この目標を達成するためにもOKRは非常に有効な仕組みだと思っています。適切に運用を行い、高い成果が出せるよう、これからも試行錯誤を重ねていきます。

※3:「東証一部企業となったGMOペパボの新たな挑戦とは。2021年の意気込みを社長に聞いてみた」