「コスパがいい」から「性能で選ばれる」サービスへ。ホスティング・ワンチームで挑んだ2020年の挑戦

国内最大級のレンタルサーバー「ロリポップ!」をはじめ、ペパボの数々の主力サービスを運営しているのがホスティング事業部です。クリスマスが来週に迫る今日は、見た目がサンタクロースに間違えられやすいロリポおじさんにちなんで、ホスティング事業にスポットを当て、2020年の振り返り、そして来年の動向についてホスティング事業部副部長のえいすけさんにインタビューを行いました。


eisukeさんのプロフィール写真

山﨑 英輔(やまさき えいすけ)
あだ名:えいすけ
Twitter:@ask11
ホスティング事業部副部長。趣味は家庭菜園と釣り。最近はまっていることは小6の娘とガンプラを作ったりマインクラフトを一緒にやったりNetflixを見ること。

自己表現もビジネスも。200万以上のサイトで利用されるサービスに成長するまで

ー現在、ホスティング事業部ではどんなサービスを展開されているのですか?

えいすけ:
レンタルサーバーといって、お客様がホームページを作成する際に必要なサーバーを提供する事業を行っています。サービスでいうと、「ロリポップ!」「ヘテムル」がそうですね。あとは、ドメイン取得サービスの「ムームードメイン」ですね。「○○.com」「○○.jp」など、ホームページにお客様が希望する独自ドメインを設定したい際にご利用いただけるサービスです。そして、これらのサービスが使いやすいように、決済をまとめる「おさいぽ!」という決済サービスを提供しています。

ーホスティング事業には、創業時期から今日まで続くサービスが多く存在していますが、どのように成長してきたのでしょう?

えいすけ:
「ロリポップ!」の場合は、ペパボの創業者の家入さんが2001年に始められたサービスで、個人が気軽にホームページ上で自己表現するためのサービスとして生まれました。当時のレンタルサーバーは、月額何千円もかかって、個人が「やってみよう」と思うには敷居が高かったんです。そこで、初心者の方や学生さん向けに「気軽に始められる価格」「分かりやすいサービス」というコンセプトで「ロリポップ!」がリリースされました。このコンセプトがユーザーニーズにマッチし、現在ではサービス開始から200万以上のサイトで利用されるサービスにまで成長しました。

ロリポおじさんとの決別を決めて臨んだリブランディング

ーリリースから今日に至るまで「ロリポップ!」を利用されるお客様に変化はありましたか?

えいすけ:
はい。近年は、ホームページの開設目的が「自己表現」だけではなく、商用目的での利用も増えており、属性を問わず色々な方に利用されています。会社のホームページ制作を手掛ける制作会社さんやアフィリエイターさんといった方にもよくご利用いただくようになりましたね。 このようなレンタルサーバーの使われ方の変化に伴い、2015年には「次世代ホスティング」を目指し、すべてのお客様にハイスペックサーバーを提供することとしました。また2017年1月には「ロリポップ!」のリブランディングを行い、ビジネスユースでの利用を希望される方にも、安心してお使いいただけることを目的に行いました。

ーリブランディング時は、ロリポおじさんが溶鉱炉に沈むということで大きな反響がありましたね。

えいすけ:
ええ、反響は大きかったですね。リブランディングに伴い、ロリポおじさんを使うことは止めようという意思決定をしたのですが、こちらの想定以上におじさん人気が高かった。なので今も時々ロリポおじさんのコンテンツを出しています。ユーザーさんに愛されているなと感じますね。

ー2019年にはハイスピードプランがリリースされました。速さをコンセプトにしたのはどんな理由だったのでしょう?

えいすけ:
速さをコンセプトにしたのは、レンタルサーバーのサービス比較サイトで「ロリポップ!」のお勧めのされ方を意識したということがあります。サイトでは「ロリポップ!はコスパがいいので最初はロリポから始めるとよいです」「アクセスが伸びたら別のサービスで」という紹介をされていて、お客様のホームページが成長してアクセスが増えても、ずっと使い続けてもらえるようなサービスにしたいという思いがありました。

また、商用利用が増える中、ユーザーニーズも「お金がかかっても性能がよいものがほしい」「より性能がよいサービスを選びたい」という機運が高まっていたので、性能で選ばれるサービスにしなければ、と考えました。そこで「ロリポップ!」では速さでNo.1を目指すべきと考え、とにかく速さにこだわり抜いた新プランをリリースしました。

ー「コスパがいい」から「性能で選ばれる」サービスへの転換を目指されたということですね。

えいすけ:
はい、マーケティングや広告だよりにならずに、プロダクトそのものと向き合い、お客様に選ばれるサービスにしたいという思いが強くありました。そのためには、カタログスペックで競合に勝っていること、早いこと、そして使いやすいことが実現できなければいけません。そしてユーザーに選んでもらえるだけではなく、ユーザーが他のユーザーにすすめてくれるようなサービスにならなければと考えました。

「ロリポップ!」が一番に選ばれるサービスになるために

ー 2020年はどんなことに注力され、どんな結果が得られた年だったのでしょうか。

えいすけ:
今年は“ホスティング・ワンチーム”を掲げ、サービス同士の縦割り意識をなくし、ホスティング事業全体で見た時、注力すべきサービスに集中できる状態を目指しました。 選択と集中を行うことができるようになった結果、リリースできたのが8月の「ロリポップ!」全プランリニューアルです。社内では「一点突破プロジェクト」という名で推進し、競合のスペックを上回るものを提供すべく、全プランのスペックを大幅向上させ、より「速い」環境を実現しました。同じサイトを置いたときのレスポンスタイムは、他の同価格帯のサービスより実際に早くすることができました。結果、会員数も好調で、注力したことが実を結んだ形になりましたね。

ー 来年の注力ポイントは。

えいすけ:
「ロリポップ!」はリリースして来年20周年になりますので、そこをはずみに引き続き「ロリポップ!」に注力していきます。まずはドメインとレンタルサーバーが同時契約できるようにする、複数アカウントで1つの契約をできるようにするといったことに対応できるようにします。そして、すぐにWebサイト(WordPress)が作成できるようにします。来年は全てのポイントで負けポイントがないものにすること、どこよりも使いやすいものにすることを目標に取り組んでいきたいです。

ー 最後に、長年ホスティング事業に携わられてきたお立場から、この業界の将来性についてのお考えを聞かせてください。

えいすけ:
専用サーバーからクラウドへのシフトに伴い、一見すると従来型ホスティングはシュリンクしていくように見えますが、我々が主戦場としている数千円台のレンタルサーバー市場においてはユーザーの総数は増えている状態です。昔の状態から見ると伸びはゆるやかになってはいますが、そういう観点ではまだ成長の余地がある市場だと考えています。

またユーザーにとって、全てが全てクラウドである必要はないと思っています。なぜなら、クラウドは担当者が必要で、運用するための専門知識や運用コストがかかります。一方レンタルサーバーなら、手軽に安価に始められ、運用自体を我々サービス側にまるっと任せて、自分たちがやりたいことに集中できるというメリットがあります。なので我々が提供するレンタルサーバーはまだ可能性がたくさんあるし、たくさんのお客様に使っていただけるものだと思っています。

その中で「ロリポップ!」は一番に選ばれるサービスでありたい。「レンタルサーバーならロリポップ!だよね」という期待を、これからも作っていきたいですね。