コラボレーションすることで可能性がつながる、ひろがる「SUZURI」と『ILLUSTRATION』が生みだす新しいプロダクト

GMOペパボは2003年の創業以来、個人向けインターネットサービスを多数展開しています。サービスの可能性をよりスケールするべく、さまざまなコラボレーションも展開しています。オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」では2019年にイラストレーションの「今」を象徴する図録『ILLUSTRATION 2019』と共に参加クリエイターのグッズを販売する特設サイトを公開しました。『ILLUSTRATION 2020』でも多くのクリエーターさんに参加いただき特設サイトを公開、続く『ILLUSTRATION 2021』では、渋谷フクラスでの動画放映やSNSキャンペーン”今日の運命のクリエイター”など、パワーアップしたコラボを展開しました。

今回のHRブログでは「SUZURI」と『ILLUSTRATION』のコラボ企画誕生のきっかけや、サービス・編集者それぞれの立場からの想いを、『ILLUSTRATION』編集者の平泉 康児氏をお招きし、SUZURIディレクター越智さんと共にうかがいました。

プロフィール

ILLUSTRATION(翔泳社)編集者
平泉 康児(ひらいずみ こうじ)氏
あだ名:イズム
Twitter : @hiraizm
フリーランスの編集者。つくば市生まれ/在住。猫好き。おもな仕事に、図録『ILLUSTRATION』シリーズの企画・編集など。猫が生きがいです。

越智 詩織(おち しおり)
あだ名: おしお
Twitter:@ottttttiori1
SUZURI事業部 リレーションチーム ディレクター
まんがを読むことと、焚き火が趣味です。


 

イラストの「今」を伝える『ILLUSTRATION』

――『ILLUSTRATION』はどういう書籍ですか?

平泉:
シリーズとして2013年から作り続けてるイラストレーターの年鑑図録です。以前MdNというデザイナー向け専門誌の編集部に在籍していたのですが、イラストやグラフィックデザインに日常的に触れていて、新しいクリエイターを発見した時に、興奮というか、楽しさがとにかく大きくて。

MdNを退職した後も、またあの時のようなことをしたいなという思いがずっとあって。面白いクリエイターって常に出てくるんですよね。そういうクリエイターを多くの人に知ってほしいという思いから、2013年に初めて“イラストレーションの「今」を切り取った本”を作りました。

――掲載するクリエイターさんを選ぶポイントは?

平泉:
ひと目でその人の絵だとわかるような個性
でしょうか。その作家ならではの世界観が確立されている絵って、サムネイルサイズで見ても、あの人だなってわかるんですよね。滲み出る個性というのを大事にしています。

――1年で何名ぐらいのクリエイターとどこで出逢うんですか?

平泉:
そうですね、400~500人くらいでしょうか。1冊作ったらもうこれ以上新しい作家さんとは出会えないんじゃないかって毎回思うんですけど、まだ出会ってない方がたくさんいて。
きっかけは今だとやはりSNSが多いです。
クリエイターはクリエイター同士引かれ合うというか、“スタンド使い”じゃないですけど。(笑)
気になる作家を1人見つけたら、その人がリツイートしてる作家へと、どんどん繋がっていくようなことが多いです。

越智:
『ILLUSTRATION』を拝見していると、フォロワーの多い少ないは関係なく、ジャンルも世界観もいろんなクリエイターさんがいて、いつの時代に誰がみても誰かには刺さるというか、自分が好きなジャンルが必ずあるみたいなバランスの良さがあるなと感じています。

平泉:
それは目指してるところというか、自分が知らなかった新しい「好き」が見つかるような、誰にとっても何かしらの新しい発見がある本になっているといいなと思っていますね。

――掲載されるクリエイターさんはどのように決まるんですか?

平泉:
日頃から気になる作家をチェックしていることもあり、制作の序盤〜中盤頃までは比較的スムーズに決まっていくのですが、終盤になるにつれて「見落としている作家はいないか…?」といった迷いや悩みのようなものが出てきます。

――表紙はどのように決まるんですか?

平泉:
できるだけ多くの人に手に取っていただきたいという思いから、わかりやすいメジャー感や王道感のようなものを意識しています。その年のトレンドなども意識しつつ、掲載作家陣の多様な世界観を包括・象徴できるよう、表紙の絵は毎年かなり悩みながら決めています。

越智:
歴代の表紙を拝見していると、その年のトレンドがしっかり表れていて絶妙なバランスで選ばれているなと感じます。平泉さんに表紙はリトル・サンダーさんですって言われたとき、元々大好きだったので嬉しいって思った反面、意外だなって思ったんですよ。リトル・サンダーさんはリアル路線というか、今までの『ILLUSTRATION』と少し路線が違ったので。ただ実際、ラフが上がってきてその絵を見たときに「2021を代表する表紙だ」って感じました。平泉さんのセンスというか感度に、脱帽しました。

平泉:
そういっていただけて光栄です。

中の人のキャラクターが滲み出るサービス「SUZURI」

――「SUZURI」はどういうサービスですか?

越智:
SUZURIは写真やイラストをアップロードするだけで、在庫を持たずに簡単にオリジナルグッズを作成・販売できるサービスです。2014年4月に提供を開始して今年で7歳の誕生日を迎えました。クリエイター数は43万人、あつかっているアイテム数は現在43アイテムです(※2021/04/8時点)Tシャツやパーカーなどのアパレルアイテムは特に人気です。

――平泉さんはSUZURIにどういった印象をお持ちでしたか?

平泉:
フレンドリーな印象がありましたね。スリスリくんがかわいくて。(笑)
ペパボさんのサービスって、どのサービスもキャラクター性がありますよね。社風なのか、中の人たちのキャラクターが滲み出ているのか。
代表の佐藤さんの新卒説明会の動画なども、真面目にふざけるというか、すごく見た目はネタっぽいけど、本気でやってるっていう熱量が伝わってきます。サービスにも、そういう真面目さと愛嬌を感じます。

越智:
そう言っていただけると、とてもうれしいです。

平泉:
それに先ほどのクリエイターさんとの出会いのお話しにもなるんですけど、実はSUZURIさんで出会ったクリエイターさんもたくさんいます。逆にどうやってクリエイターさんを見つけているんですか?

越智:
そうですね。やはりTwitterやInstagramで出会うケースは多いですね。イラストが好きなパートナーが多いので、平泉さんもおっしゃっていたように、パートナーがリツイートしてて、そこから広がっていくこともあります。

平泉:
やはり好きな方が多いんですね。コラボレーションのお話しをいただく以前からSUZURIさんを知っていたのですが、クリエイターをちゃんと自分たちの審美眼で選ばれてるなっていうのを感じていました。フォロワー数など関係なく、自分たちが本当に好きで選んでるなというのが伝わってくるサービスだと感じていました。

越智:
嬉しいです。SUZURIで取り上げるアイテムはフォロワー数や人気度に寄りすぎることはしないようにしています。例えばトップページにあるピックアップは、担当者が“このアイテムいいな”と思ったものを純粋に取り上げています。クリエイターさんや購入者さんたちに、いいものを見てもらいたいという思いがサービスとして強いですね。

平泉:
それってやっぱりみんな言わないけど絶対感じてると思うんですよね。
フォロワー数などではなく純粋に作品を見てくれてるって。そこで信頼度が違いますよね。

「SUZURI」と『ILLUSTRATION』だからこそ誕生したプロダクト

――「SUZURI」と『ILLUSTRATION』のコラボはどのように始まったんですか?

平泉:
SUZURIさんとは『ILLUSTRATION 2019』で初めてご一緒させていただいたのですが、そのときはコラボという形ではなく、SUZURIさんの方で自発的に特集をしていただいた感じですね。
以前SUZURIの営業をされていた深田さんとお会いする機会があった際、「毎年『ILLUSTRATION』を楽しみにしています」と言ってくださったんです。深田さんとお話しをさせて頂いた時にも、本気で『ILLUSTRATION』が好きで、クリエイターやイラストが好きという想いが強く伝わってきて、何も心配せずに任せられると感じました

越智:
もともと深田が個人的にすごく『ILLUSTRATION』を好きで、平泉さんとコラボレーションさせて頂きたい想いが強くお声がけさせて頂いたと聞いています。SUZURIとの親和性も強い書籍だということもありますが、社内に『ILLUSTRATION』のファンがたくさんいたので、ご一緒させていただけることが決まったとき、歓喜の声が上がりました。全員で、全力でやろう、みたいな勢いが生まれましたね。

平泉:
僕的にはSUZURIさんって先ほどお話したように、クリエイターをすごく大事にしていることや制作チームの方々のカルチャー愛が伝わってきていたので、ご一緒できて率直にうれしかったです。

越智:
ありがとうございます。今何か流行っているか、ということももちろん大事ではあるんですけど、それよりも自分たちがちゃんと感度を磨いてサービスの色を出していきたい想いが強いので、クリエイターさんたちにもSUZURIがどういうサービスなのかは、使いながら感じてほしいと思っています。なので平泉さんにそう感じていただけているなら、とても幸せなことだなと感じました。

――『ILLUSTRATION2020』のグッズ化が実現していかがでしたか?

平泉:
クリエイターさんみんなにすごく喜んでもらえた事が、僕としても嬉しかったですね。本が出て終わりではなく、先の展開が広がったというのがあって、クリエイターさんにも、ファンの方にも喜んでいただけたので、ご一緒させていただいて本当に良かったと思いました。

――『ILLUSTRATION2021』では、どういったところを重視して企画をされたんですか?

平泉:
もう基本的にSUZURIさんのクリエイティブに全幅の信頼を置いているので、そこが活かされるようなかたちであれば、こちらからあんまり余計なことは言わないで、SUZURIさんにお任せした方が絶対うまく着地できるなと思っていました。

越智:
前回になかった新しい取り組みとしては、SNSでの企画を行なったことです。最初は平泉さんから「表紙ジェネレーターをやりたい」とお声がけをいただきまして、リトル・サンダーさんの描かれた表紙のポーズがかなり独特なので、ポーズを真似してくれる方がいたら良いなとお話があって。

平泉:
いろんな方の目に留まるようにSNSと連動した企画をしたいというのがありましたね。

越智:
平泉さんのアイデアをもとに社内でブラッシュアップさせていただいて、全クリエイターさんにスポットが当たり、さらにSNSでトレンドを作れる企画として、 ”今日の運命のクリエイター” をリリースしました。『ILLUSTRATION2021』リリース後に参加クリエイターさんにとったアンケートでも「すごく嬉しかったです」「楽しめました」とお褒めの言葉をいただいたので、たくさんの方々に喜んでもらえるようなキャンペーンをリリースできたことは私たちとしても嬉しかったですし、平泉さんにアイデアをいただけて良かったなと思っています。

平泉:
今日の運命のクリエイター” という新しいアイデアに変えていただいたことでいろんなクリエイターに光が当たりつつ、何度も楽しめるような企画になり、結果すごく良かったなと思いました。

――『ILLUSTRATION2021』のコラボで一番印象に残っていることはなんですか?

平泉:
コラボ企画の参加クリエイター一人ひとりに対して、SUZURIの方々がすごく丁寧な対応をしてくださったことが印象に残っています。商品のサンプルを参加クリエイターさん全員に送ってくださったり、SUZURIさんのきめ細やかなフォローに本当に感動しました。

越智:
クリエイターのみなさまから「グッズを出したことがないので悩みます」「ファンがどう感じるか心配です」といった不安のお声をいただくことがあるんです。なので、クリエイターさんに自分のイラストがグッズになったんだということを実感していただきたいのと、ご自身の作品がどのように仕上がったのかを見て、納得感のあるものにしていただきたかったので、サンプルは全員にお渡しました。手元にグッズが届いてとても嬉しいですという声をいただけて、クリエイターさんやファンの方々に喜んでいただけたことが個人的にも一番嬉しいことでした。

平泉:
そうですね。僕からはビジュアル面、PR面と本当に何も言うことがなかったし、安心してお任せすることができました。サービスと、編集とクリエイター、みんなが高い信頼関係を持ってコラボができてることが一番素晴らしいことなのかなという風に感じていますね。

コラボレーションすることで可能性が広がる

――今後やってみたいことはありますか?

平泉:
SUZURIさんはサンダルや吸着ポスターなど、アイテムのセレクト自体もユニークで独自性がありますよね。1ユーザーとしても「次はどんなアイテムが出てくるんだろう?」と楽しみにしています。珍しいアイテムになると生産ラインの確保なども大変かと思うんですけど、何か新しいのを一緒にできたらすごく楽しそうだなって思います。

越智:
本当ですか!?例えばこんなグッズが欲しいとかありますか?

平泉:
今パッと思いついたものだと、モバイルバッテリーとかあったらいいなって思いますね。

越智:
モバイルバッテリー面白いですね。ちょっと社内で提案してみます。

平泉:
アクリルブロックとか吸着ポスターとか、イラストを飾れるグッズは魅力的ですよね。いつもSUZURIさんの新アイテムは独自のセンスで意外性があって驚かされます。

――『ILLUSTRATION』はどのように展開していきたいですか?

平泉:
イラストにそんなに興味がない方が何かのきっかけで見ていただいたときに、面白いなってなって思ってもらえるとか、新しい発見に繋がるようなものにしていきたいですね。すごく輝くものがあるクリエイターなのにまだ知られていないとか、そういう人がちゃんと多くの人に知ってもらえると、僕は嬉しいなって思っています。

あと本当に、クリエイターの皆に健康に食べて描き続けていただきたいと…なんでしょう、クリエイターってプロアマの境界が曖昧なせいもあるからか、生活に地続きになっているような印象を受ける方が結構多くて、クリエイターとしてのリスペクトはもちろんしているんですけど、僕も同じ生活者として親近感を受けやすいっていうのもあって。クリエイター1本で食べてくってなかなかきついと思うんですよね。だから健康にずっと絵を描き続けていただくために、何かでバックアップさせていただきたいなというのはあります。

越智:
『ILLUSTRATION』の“イラストにそんなに興味がない方、知らない方にこそ読んでほしい”という想いとか、もうめちゃくちゃいいなって強く共感しました。SUZURIもクリエイターさんの素敵なアイテムが少しでも多くの方に届くよう力を尽くしていきたいですね。プラス、企画自体は経験を積んで毎年アップグレードをしていくつもりですし、末永くご一緒させていただきたいなって思っています。

平泉:
はい。ありがとうございます。ぜひぜひ末永くご一緒させて頂けたら嬉しいです。本当に、SUZURIさんには自由にのびのび取り組んでいただければと思っています。

越智:
ありがとうございます。もうすぐ『ILLUSTRATION』10周年なので、そのタイミングで何か大きな事が一緒にできたら嬉しいですね。

――今後の展開がたのしみです。ありがとうございました。


special thanks
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サコッシュ / unpis 「CUTTING」
吸着ポスター / Yashiro Nanaco 「CLEAR」