研修付き採用「ペパボカレッジ」入社後のキャリアを振り返る。異業種からエンジニア上位職へ

5年前にスタートし現在までに12名の方を採用した、研修付き採用の「ペパボカレッジ」。今回は2016年10月にペパカレ1期生として入社し、現在はエンジニア職位制度のプリンシパルとして働くやまちゃんに、異業種からの転職や、プリンシパルエンジニアになるまでのお話を聞きました。

自己紹介

山本 浩平(やまもと こうへい)
あだ名:やまちゃん
Twitter:@kymmt90
EC事業部 ECグループ DXチーム プリンシパルエンジニア。好きな音楽はメタル。好きなRailsのモジュールはActiveModel::Model。

大手企業に新卒入社。それでも「やっぱりWebエンジニアとして働きたい」と思ったわけ

ー現在の業務内容を教えてください。

やまちゃん:
現在EC事業部のDXチームというところに所属していています。

カラーミーショップやグーぺを担当しているEC事業部は、ユーザーが利用する管理画面を開発するチームや、ショッピングカートを開発するチームなど、それぞれの役割でチームが分かれています。

その中でもDXチームは、開発者体験の向上やサービスのセキュリティの強化をミッションにしています。

ーやまちゃんが入社されたのはいつですか。

やまちゃん:
2016年の10月です。あと2​​ヵ月で5年になります。ちょうど5年前の今頃選考をしていました。

ーペパボに入る前はどんな仕事をしていたんですか。

やまちゃん:
2014年に新卒でSI(システムインテグレーション)や自社ソフトウェア、ハードウェア開発をやっている大手ITベンダーに入社しました。入社後はミドルウェアを開発する事業部に配属されました。

SIerって開発部隊の取りまとめなどの上流の仕事がメインだと就職する前は思っていて、実際にソフトウェアの開発に関われるのはミドルウェアを扱っている部署だと聞いたので、そこに入りました。

配属された部署では、公共系システムなどで古くから使われている言語の処理系などを作っていました。私は古い言語仕様で書かれたプログラムを新しい言語仕様のコンパイラで動かせるようにするためのツールのメンテナンスなどを担当していました。

また、OJTの一環で言語のコンパイラ自体の開発にも少しだけ関わりました。すごく大きな数字の計算をするためのモジュールがあって、そこがアセンブリ言語で書かれていたので、そのパフォーマンスチューニングなどをしました。

あとは既存の資産を活かした新しいソリューションをひたすら考える、みたいな…結局そこまでプログラムを書かない仕事をしていることが多かったです。

ー今のWebアプリケーション開発の仕事とは全然違いますね。

やまちゃん:
そうですね、むしろアプリケーション開発に近いことをやってるのはSIerの方たちなんだなとペパボに入ってから気付きましたね。

ー転職のきっかけはなんだったんですか。

やまちゃん:
新卒でいわゆる大手企業に入ったのですが、それはすごく深く考えて選んだという訳ではなかったんです。大学が工学部だったので、就活の時期に大手企業向けの大学推薦枠などを見ていて「まあそういう会社に行くものなのかな」と思っていました。

なので、就活の時は比較的新しいWebサービスの事業会社は全然見てなかったし、そういう会社ってすごくプログラミングが得意でないと入れないと思ってたんですよね。当時の私は、プログラミングが得意ではなかったので、会社に入ってからゆっくり勉強していけばいいかなと思っていました。

そういう気持ちを持って前職の会社に入ったのですが、しっかり仕様書を書いたあとにようやくプログラムを書くといった開発フローだったり、自分自身「もう少しモダンな開発がしたい」と思うようになったりと、そのまま働くことに少し息苦しさを感じていました。

やまちゃん:
そんな中、Webサービスの会社で働く人たちの動きをみていると「こっちの方があってそうだな」ということに気付きました。それが2015年ぐらいです。当時はすぐ転職できるような能力もなかったのですが、そのころプライベートでRubyを試していたこともあって、将来的にはRailsを使った仕事がしたいと考えていました。「1年ぐらい頑張って勉強してみるか」と思って、RubyやRailsの勉強をはじめました。

その頃は、いまほど異業種からWebサービスのエンジニアへの転職が注目されてなかったように思いますが、自分でgem(Rubyのライブラリ)を作ってみて、それをポートフォリオにしたり、今思うとそれらしいことをしていました。

あと当時横浜に住んでいて、参加していたYokohama.rbというコミュニティにペパボのくろさんがいたんですよね。そこでペパボの話を聞いて、選考に応募して、リファラル入社しました。

入社後、エンジニアの仕事を目の当たりにして「いい意味で衝撃を受けた」

ー入社し、研修を受けられたと思うのですが、その時の思い出を教えてください。

やまちゃん:
まず、ペパカレの同期と一緒に福岡オフィスで研修を受けられたのは、いい思い出ですね。1ヵ月間、毎日朝から晩まで研修とその復習に取り組んだり、同期のみんなで福岡のおいしいご飯を食べに行ったりしました。

あと、ある程度心の準備はしていたのですが、会社のコミュニケーションの雰囲気が前の会社とは違いました。それまではメール文化の会社にいたので、Slackでのカジュアルなコミュニケーションに驚きました。

Slackでのコミュニケーションは、あんまり「〇〇です。よろしくお願い致します。」とかは書かないようにしていました。笑 もっとライトな感じで、Twitterみたいな感じでいこうと思って。そのあたりは、他の人の行動を見て真似たりしてましたね。

異業種からの転職だと、結構ギャップがあると思うので、研修期間があってよかったと思っています。

当時の様子:いるだけで成長できる環境は本当にあった!ペパカレ1期生インタビュー

やまちゃん:
その時のペパカレで指導してもらったのが、うづらさんや、pyamaさんおださんといった、ペパボの上位職で活躍するメンバーでした。

そういう人たちに技術的な相談をした時の解決の速度を間近で見て「こんなに速いのか」といい意味で衝撃を受けました。それと同時に、自分もそれぐらいにならないといけないんだという、切迫感じゃないですけど、そういう気持ちが生まれたのもよかったですかね。

ー研修後、正式に事業部に入ってからどんな仕事をしていたんですか。

やまちゃん:
最初は、カラーミーショップの「新しいショッピングカート」を開発しているチームに配属されました。カラーミーショップは、今のところ2つのカートが存在していて、新しい方に移行しようという流れがあります。このチームに入って、最初に任された大きい仕事は、新しいカートでのショップクーポン機能の実装でした。

ショップクーポンは古いカートからあった機能なのですが、仕様が少し複雑なんですよね。

また実際に何万人もの方が使っているサービスのコードベースを触るのは、その時が初めてでした。今思うとそんなに巨大じゃないんですけど、その時はすごく巨大だと思っていました。「めちゃくちゃ has_many って書いてある、ヤバイ」みたいな。笑

そういうのって、個人開発ではなかなか経験できないんですよ。そんなコードベースに圧倒されながら2ヵ月くらいかかってなんとか実装できました。

当時のチームはシニアエンジニアを含むメンバーが集まっていたので、その人たちにコードレビューをしてもらって、すごく勉強になりました。

ー開発の中で、何か印象的な思い出はありますか。

やまちゃん:
ショップクーポン機能の開発中、障害を起こしてしまったのですが、周りのメンバーに助けてもらって復旧したことですかね。

これまでのキャリアの中で、何万人もの方が使っているサービスに変更を入れる経験ってなかったので、最初にデプロイする時はめちゃくちゃ怖かったです。今はもう落ち着いて対応できるようになりましたが、現場に入ってしばらくは毎回緊張していた記憶があります。

入社前から目指していた、上位職シニアへの挑戦

ー上位職である、シニアエンジニアになられたのはいつごろですか。

やまちゃん:
2018年の12月です。実は、その1年前の2017年にも1回立候補したのですが、その時は落ちました。

ーシニアを意識したのは、いつごろですか。

やまちゃん:
入る時からです。せっかくなので目指したいと思っていました。シニアの人が何をやってるかを見て、同じような動きができるようになれば、自分自身の開発能力も付くし、会社としても役に立つ存在になれるので、職位は最初から意識してました。

ー2017年の時に立候補しようと思ったきっかけや、自信みたいなものはあったんですか。

やまちゃん:
同じチームのメンバーが立候補することになったのが大きかったです。

当時は、新規サービスとしてリリースを控えていたカラーミーリピートの開発を担当していて、チームにはシニアエンジニアの方が2人と、私ともう1人のエンジニアのあわせて4人がいました。

新規サービスの開発ということもあって、結構頑張っていたので、チームメンバーも立候補するなら私も立候補しようと思ってやってみましたが、その時はダメでしたね。思い描いている理想のエンジニア像的にはオッケーだけど、実績がまだ伴ってないといったことを言われました。

ー悔しかったですか。

やまちゃん:
まあ、悔しいですよね。その時はまだコロナ禍以前でみんなオフィスに出社して仕事をしていたので、そういった気持ちをあまり表に出さないようにはしてました。笑

ーそのあと再チャレンジするためにどんなことしましたか。

やまちゃん:

アウトプットの量を増やす意味で、登壇をしたり、また、タイミングや運が重なって、2018年に「WEB+DB PRESS」に記事を執筆する機会をいただきました。

そもそもシニアエンジニアになるには専門性を論じる必要があるのですが、2017年に立候補した時は、自分の専門性がなんなのかを、ちゃんと言えてなかったんですよね。上位職への昇格はすでに専門家として振る舞えていることへの追認という側面もあるので、自分がこういう専門に秀でてて、その技術力は社内外的に見てもある一定レベル以上にあることを、ちゃんと根拠立てて説明できないといけないんです。

その時はWebアプリケーションのサーバサイド開発に専門性があり、こんなことをやっていますよっていうのを改めて整理して説明しました。

たとえば業務についてはWeb APIの開発を効率化しましたとか、Webアプリの設計を世間で良しとされている状態に改善していきましたとかを書きました。あとは、登壇や執筆、OSS活動などのアウトプットも含めて主張することで、通ったって感じです。それが2018年末ですね。

実際の評価資料の一部

上位職で働く以上、プロとして理想を追求していきたい

ーエンジニアの上位職として働くのって、すごく大変だと思うのですが、そのモチベーションはどこからきているんですか。

やまちゃん:
一番わかりやすいのは、給料をあげたいのでお金ですね。笑 けど、もちろんそれだけだと続かないです。

入社してしばらくして仕事に慣れてくると、今あるサービスのコードは全然理想じゃないというのがわかってくるんですよね。そして、これは本能なのか内なる欲求なのかわからないのですが、「理想的な状態にしたい」という気持ちに私はなるんです。

ただ、そうするには、ちゃんと「なぜそれが理想なのか」を説明できないといけないし、それを改善できるだけの技術力も必要なんですよね。だから色々勉強しないといけないです。

上位職としてやっている以上、そこを追求するのがプロだと思うので、そういう気持ちでやっています。

あと純粋に技術力が高い方がかっこいい気がするとか。笑 そんな感じですね。

ーシニアになって、そこからプリンシパルになるのはとても大変だったと思うのですが、プリンシパルになれた理由は何だと思いますか。

やまちゃん:
プリンシパルエンジニアには、2020年度末(2021年の2月〜3月)に立候補して、1回で通りました。

プリンシパルに上がれたポイントとしては、サービスの大きな改善をできるタイミングがあって、そこでしっかりとチャンスを掴んで、実際に改善できたことだと思っています。

またブログを書くのが好きだったり、雑誌の記事を書いた経験があったので、割とテクニカルライティングが得意なのも、自分の強みかなと思っていて、業務でその辺を活かせたというのもあると思います。

ープリンシパルになるまでの2年間はどんなことをされていたのですか。

やまちゃん:
シニアになってからの1年は、ビジネスの事情もあって日々の泥臭い仕事が多かった気がしています。プリンシパルは部や全社の目標達成に技術面で貢献できることが要件にあるので、「プリンシパルに立候補できるのか」って言われたら「できないな」みたいな気持ちが大きかったです。

面談でも「もう少しEC事業部全体を見る仕事をしてきたい」と話していました。そんな中、EC事業部のセキュリティ対策に関わるようになりました。

例えば、EC事業部で扱っているWebサービスの認証とかログインの仕組みって、セキュリティ的にさらに改善できそうな箇所があったんですけど、サービスの構成が若干特殊だったこともあって、誰もそのうまい解決策を見つけられていなかったんですよね。

普段から知らない技術をキャッチアップするよう意識していたのですが、セキュリティ対策に関わるようになった際も、認証の技術などを調べてEC事業部のサービスに合う方式を考え、サービスの安全性を高める取り組みを行いました。

やまちゃん:
またこういったサービス全体に関わる取り組みでは、「全体像はこうで、先を見越してこことここを直さないといけないので、みんなでやっていきましょう!」といったことを周囲に説明していかないといけません。

その時に、テクニカルライティングのスキルが活かせました。「こうするとよりいいんですよ」といった社内ドキュメントを書いたり、ある改善が完了したあとには技術的な詳細をテックブログに公開しました。特にブログはたくさんの方に見ていただけて、そういう点も評価されたんだと思います。

なので、泥臭い仕事が続く時もありますが、普段から常に勉強はしておいて、チャンスがきた時に、新しいことにすぐに対応できる力を地道に養っておくといいと思います。

教材にしたがった開発をするだけでなく“寄り道”できる人と一緒に働きたい

ー今エンジニア目指している方に、アドバイスやメッセージありますか。

やまちゃん:

今、面接官をしていて、皆さんポートフォリオを提出してくれるのですが、それを見ると、たぶんですが、Webエンジニアになることが目的で、そのための最短経路をとりがちな人が多いという印象を受けます。たとえば「Railsで作ったアプリケーションをAWSに載せて、ここで公開しています。なので私はRailsができます」という説明をしていただくことがあるのですが、いまはそれだけだと他の人との差別化が難しくなっているのかなと思います。

私は、他の人と差別化するためにもうちょっと寄り道してもいいのかなと思います。

たとえば、情報科学などの知識はどこかで必要になってくるので情報処理技術者試験を受けてみたり、あえてRubyやGoといった言語ではなく関数型言語を触ってみたり。他にも、こういう技術書が面白くて、こういうところが好きなんですと語れるとか。

やまちゃん:
最近はWeb上に初心者向けの教材が充実していますが、それだけにしたがってプログラムを書いていると、限界が見えてきます。寄り道ができる人なんだなというのが事前にわかると、こちら側としても入社した後の働くイメージが湧くし、技術的な話がしやすくていいのかなと思います。

あとペパボが事業会社なので、サービスを少しでも使ってみてどうだったとか、なんか感想とかを言ってくれると、嬉しいですよね。SUZURIとかminneとかはすぐ触れると思うので。

他にも、すごく細かい話をすると、たとえばGoogle ChromeでなにかのWebサービスをデベロッパーツールで開いてみて、どういう風に通信しているのか、どういう風に動いているのかなどに興味を持ってくれる人だと嬉しいです。本当に技術的なことが好きだったら、デベロッパーツールとか見てみたくなると思うんですよね。

もちろん異業種の方は、イメージがつかないこともたくさんあると思うので、そういう方は、どういう風にやってるのかをいっぱい質問して欲しいし、そういうところに興味を持っていただけるといいのかな思います。

あと、異業種でもいわゆるSIer業界の方から転職を考える方は、手堅くソフトウェア開発のプロジェクトを進めていけると思うので、そこはぜひアピールしてください。

ー最後に、やまちゃんがペパボで働き続ける理由について教えてください。

やまちゃん:
技術的な改善をすることに、まったくストップがかからないからですかね。

「このコードはよくないから、全体的にこうしていかないといけないよね」といった話ができたり、そういう改善をしていたら職位制度に基づいてきちんと評価もされる点は、エンジニアにとっていい環境だと思っています。

世の中には、案件で決まっている以上のことはやらないとか、改善したくても認めてもらえないといった環境で働いる方も多いと思います。

いろいろとアイディアが思い浮かぶけど実際にチャレンジすることができないという方は、まだまだ改善していきたいところがいっぱいあって、伸び代しかないペパボはとてもおすすめです。

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