CTO×PM公開2on1 〜GMOペパボのプロダクトマネジメントについて〜

GMOペパボでは、4半期に1回、プロダクトマネジメントに関わるメンバーが集まって、各サービスで実施した施策やプロダクトマネジメントに関する知見などを共有し合う「Pepabo PM Talk !(通称:PPT)」が実施されています。

9月末に実施された会では、CTOと、SUZURIminneのプロダクトマネージャー(以下:PM)がプロダクトマネジメントについて語り合う、公開2on1を行いました。

その様子を、PM歴約2年の新規事業部レンシュチームのディレクターがまとめてみました!

書いた人
荒木千佳(あらきち)@aluckychi
新規事業部レンシュチームのディレクター。
飲酒と散歩が好き。

お話を聞いた人

栗林 健太郎(くりばやし けんたろう)
あだ名:あんちぽ
Twitter: @kentaro
GMOペパボ取締役CTO
最近ハマっていることはギターの練習。

小松 智樹(こまつ ともき)
あだ名:ともぞー
minne事業部プロダクト開発チームのプロダクトマネージャー。
登山・バイクツーリング・スノボが趣味。

牧山 ミルテ(まきやま みるて)
あだ名:みるて
Twitter: @_mmakiyama
SUZURI事業部プロダクトマネージャー。
ホラー映画鑑賞が好き。最近はドラクエ4にハマっています。

みるて:あんちぽさん、今日はありがとうございます。プロダクトマネジメントについて、いろいろと聞いていければと思います。

あんちぽ:よろしくお願いします。じゃあ、自己紹介がてらちょっと最近僕がやっている活動について話そうかな。僕は最近、「作家」をやっています。英語でいえば「クリエイター」ですね。

みるて:作家活動ですか。

あんちぽ:そう。みんないろいろなことを日々やっていると思うんですけど、要はすべては「ものをつくること」つまり「作家活動」だと呼べることに気がついて。

僕らが毎日やっていることは「作家活動」あるいは「制作」であると思って生きてると、すごくポジティブなんですよね。

例えば今日はプロダクトマネジメントについて話すということだけど、PMって、エンジニアやデザイナーより直接「ものをつくっている」という実感を得にくい役割じゃないですか。僕がやっているマネージャーもそう。でも、直接手を動かしてなにかを生み出すその動作以外のことも、大きく捉えると「作家活動」、つまり「ものをつくること」だと思うんですよね。

みえないものをみえるようにする

あんちぽ:僕の大きいテーマの1つに、『どのようにして、実在するものをつくるようにプロダクトをつくれるか』ということがあります。あたかも目の前で粘土をこねているかのような精度でソフトウェアをつくる。

僕たちが扱っているプロダクトは、ソフトウェアで、「もの」としての形がない、抽象的なものですよね。例えば車とかテレビとか、そういう実在するものをつくっているわけではないから、「分かりにくさ」に困ってしまう。ソフトウェアのPMという立場の方がぶつかってしまう難しさは、この「分からなさ」に起因するものが多いのではないかなと思います。さらにその「つくる過程」も見えないから、さらに難しい。あれを言ったとか、言ってないとかもそうです。
僕は過去に、『ソフトウェアは「霊」である。』という話をしたことがあるんですけど、「見えないもの、実在しないもの、抽象的なもの」を、どのようにして「見える」ようにしていくかが、ソフトウェアを開発する僕らに求められていることだと思っています。その手段として、スクラムやカンバン化、アジャイルなどを常に試しているわけです。

▼ その時の資料はこちら

みるて:たしかに、設計図があるような実在するものをつくっているのではないからこその難しさはありますよね。

PMの役割の1つとして、「みんながわからないものをどうチームのメンバーに伝えていくのか」というのがあると思います。

私はSUZURIというサービスに携わっていますが、サービスができた当初とはフェーズがどんどん変わってきていて、価値提供の手段も変化しています。その中でより最適なものを考えて追い求めていく、さらにそれをチームメンバーに伝えて巻き込んでいくというのは、PMのミッションの1つですね。

ともぞー:見えないものを完全に見えるようにするのは難しいと思うんですけど、『輪郭でも想像できるようにする』というのは大切かもしれませんね。

「30点で打席に立つ」という話が先日SNSで話題になっていましたけど、それにも通ずる話で、まずはなにか見えるものをつくる、アウトプットすることが重要なんじゃないかと思います。

見えるものがあれば、それに対してフィードバックがあって、どんどんつくるものが顕在化してくる。ペパボでも、「アウトプットすること」はわたしたちが大切にしている3つのこと、の1つに入っています。

あんちぽ:そういうことですね。見えないもの=「霊力」と戦うよりも、チーム開発においてはコミュニケーションで見えないものを見えるようにしていくことが大切なんだと。つまり「霊力よりコミュ力」ということです。

・・・こんな話でいいですか?(笑)

みるて:大丈夫です!(笑)こういう話がしたかったし、社内のPMのみんなに聞いてもらえて嬉しいなと思います!(笑)

たまたま撮影日はハロウィン仕様のオフィスでした

筆者メモ
新規事業のレンシュをつくるときも、見込みユーザーになりそうな習い事の先生や町内会やコミュニティを運営する方にお話を聞いて、少しずつプロダクトを輪郭付けていく作業を行っていました。これまでまわりのPMのひとたちには、プロダクトをつくるとき、その目指すべきものが形として見えているんだろうなあ、と思っていたのですが、最初からつくるべき答えが直接見えているわけではなくて、見えるようにする過程(コミュニケーション)の中で答えが見つかっていくんだなあと感じました。

WhatやWhyがないと、いいものはつくれない

みるて:あんちぽさんは、ペパボで活躍するPMにどういうマインドを持っていてほしいですか?

あんちぽ:マインド…そうですね。では僕がなぜPMが重要だなと思ったのか、きっかけの話からしようと思います。

ペパボでPMの重要性について考え始めたのは、2015年くらい。ちょうどスクラムを導入し始めて、プロダクトをつくるスピードがすごく上がっていった時期でした。でも、プロセスがいい感じになって、早くつくれるようになっていった割に、事業が思うように伸びなかった。あとは、できたものがおもしろくないとかね。

Howだけをどんなによくしても、WhatやWhyがないとだめなんだなってことに気がつきました。今だと当たり前の話かもしれないけれど、当時は今ほどそんなにPMについて日本で話がされているような状況ではなくて。プロダクトに対して、WhatやWhyを示す人が必要だなって強く感じたんですよね。だからこそ、PMへはWhatやWhyの精度やレベルを上げていくことを期待しますね。肩書はPMじゃなくてもいいんだけれど。

プロダクトマネージャーは「全体をいいかんじにするひと」

あんちぽ:じゃあ例えば、みるてさんとともぞーさんは「プロダクト」ってなんだと思いますか?

ともぞー:なんだろう。一言で表すには難しいんですけど、僕は「価値を提供するもの」だと思っていますね。

みるて:私も、ともぞーさんと似た答えになってしまうかもしれないけど、「価値を提供する手段」がプロダクトかなあと思います。

あんちぽ:僕は、プロダクトは「ある種の全体性」だと思っているんですよ。

たとえば、ともぞーさんはminneというサービスをつくられていると思うんですけど、ユーザーにとって、minneはminne全体であって、1つの機能や1つの改善をそれのみで見ることはないですよね。

僕らはどうしても、日ごろは1つの機能を、どんな技術を使ってどう実現するのかを考えがちだけど、ユーザーにとってはそれは部分でしかなくて、minneという全体が自分に何をしてくれるのか、というそれだけでしかない。だから、PMは、全体がユーザーにどういう価値を提供するのかという観点で、ものを考えないといけないんじゃないかと思っています。ほぼ社長ですね。

PMはミニCEOだ、みたいなことは、だからこそ言われることだと思います。

ともぞー:プロダクトに何を求めているのかが、ユーザーによって違うというのも難しいところだと感じます。例えばminneはCtoCマーケットではありますが、ユーザーによっては、売ることよりコミュニケーションに価値を感じられる方もいらっしゃると思いますし、そのなかで全体の価値をどうしていくのかは難しいですね。

あんちぽ:そうですね。結局、ユーザーが全体性をみて、どういうコンテキストで価値を見いだすのか、根本的にはわからない。

だけど、その全体をどうしていくのかを示して、実現するために「なんとかする」、つまりマネージすることがプロダクトマネジメントなんだろうと思いますね。さっきの「わからないもの」=霊的なものとの戦いに通ずるわけだけれども。

みるて:ドキドキしてきた。

あんちぽ:もちろん、PMだけで全部やらないといけないっていう話ではないんですけどね。

みるて:あんちぽさん、ありがとうございます!あっという間にお時間になってしまいました…。

まだまだあんちぽさんの脳内と同期できていない部分があるなということを感じたので、引き続きいろいろとお話する機会を作っていければと思います!

筆者メモ
GMOペパボにはたくさんのサービスがあって、それぞれプロダクトの内容もフェーズも異なるので、ほかのサービスの同じ職種のかたのお話を聞ける機会はとても貴重だなと感じました。一人で「なんとかする」のではなくて、PMとして「全体をなんとかする」ために、チームのそれぞれの専門家の得意なことを知り、それぞれを頼って、それぞれがよりよい成果を出せるようにしていくのが、PMの役割なのかなあ〜と思ったし、私もこれからも頑張っていこうと思います!

コミュ力により霊的なものを見えるようにしているみなさん

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