人事でOKRをやってみた(後編)

こんにちは。HR統括部の前田です。

先週は人事マネージャーの船橋が人事で試験導入を行ったOKRについて、導入の背景やOKRの設定で気をつけたこと、試験導入後のふりかえりについてこちらの記事で紹介いたしました。

今回はその後編として、実際に労務チームで1Qに取り組んだOKRについて、部門OKRを元にメンバーがどんなOKRを設定し、どんなことを達成したのかをご紹介します。

ラブリーグッドガールあらたんのOKR

今回はOKRの一つとして取り組んだ「人事へ届くSlackのお問合せをbotで返す」についてご紹介します。

どのようなことを行ったか

botで返信する内容を作成するに際し、まず現状のお問合せの傾向を知る必要があると思ったため、今回はどんな質問が人事によく問われているのかお問合せの傾向を確認しました。確認する手段として、流行りの「Python」で人事へのお問合せ内容をテキストマイニングしてみました。

もちろん私は、人事担当なのでコードを書くことも初心者でした。しかし今は大変便利な世の中で、検索したりエンジニアに相談しながら何とかこんな私でもテキストマイニングすることができました。無事に完成したテキストマイニングがこちらです。ペパボのパートナーは礼儀正しいことがわかります。

テキストマイニングについての詳細は、個人で運営しているブログに記載しておりますので、ぜひ見てください。

その後はよく出てくるキーワードを抽出しつつ、よくあるお問い合わせに関する回答を作成したり、終業時間後のお問い合わせについては、人事メンバーが晩ごはんを食べながらSlackのお問い合わせ返信をしなくてすむよう、以下のような通知がbotで飛ぶように設定を行いました。

上記のような取り組みを行った結果、全体のお問い合わせの3割についてはbotでの自動返信を行うことが出来ました。

OKRに取り組んでどう思ったか

普段自分ひとりでは改善できない大きな課題や目標に対して、チームでOKRを設定することで、課題や目標を達成しやすくなると感じました。

また、普段のルーチン業務に追われてOKRの進捗が悪かったときに、同僚のOKR進捗を毎週確認したことで良い意味で刺激になり、チーム全体がスピード感を持ってOKRに取り組めたと思います。

労務1年目の@biscoosのOKR

今回は、これまで人事と新入社員が対面で行っていた入社オリエンテーションを、非対面で手続きができるよう取り組んだ①のOKRについてご紹介します。

どのようなことを行ったか

主に行ったことは下記の4点です。

1. 入社資料の改善

オリエンテーション担当者へヒアリングを行った上で、これまで口頭でしかご案内できていなかった情報やよくある質問について入社資料に追記し、入社者へ重点的に確認してもらいたい内容が分かりやすいようにデザインの改善を行いました。

2. 入社日に紙で渡していた資料をデータでお渡しできるように変更

これまで印刷してお渡ししていた社内ツールの初期設定資料のデータはコーポレートエンジニアリンググループに協力を仰ぎ、入社者のPCに設置してもらうよう変更しました。また、その他の資料(オフィスルールや入社時に確認が必要なもの)は全てご本人と上長にデータを渡す形に変更しました。これにより、対面でのオリエンテーションを行わなくとも、入社者が必要な資料をPC上で確認しながら各種セットアップや入社手続きができるようになりました。

3. 入社者に記入してもらう確認書類はアンケート形式に変更

入社日に紙をお渡しし記入してもらっていた確認書類は、Microsoft Formsに移行しWebアンケートで簡単に回答できるよう改善を行いました。

4. 雇用契約書の捺印を電子署名に移行

入社日に入社者にて捺印いただいていた雇用契約書は、Agreeというサービスを利用し電子署名に切り替えて対応できるようにフローを整備しました。

上記のような取り組みを行った結果、人事厚生パートナーによる入社オリエン業務の内、90%以上を資料による案内形式に変更することができました。また、これにより非対面での入社手続きを実現することができました。

OKRに取り組んでどう思ったか

OKRを設定することでチームおよび個人の目標や注力すべきことが明確になるので、以前よりも仕事を進めやすくなったように感じました。

また、今回のOKRでは普段の業務とは異なるメンバーでタッグを組んでタスクを進めることが多かったのですが、その結果メンバー間での相談に対するハードルが下がり、チームのコミュニケーションの活性化にも繋がったように思います。

ペパボ労務4年目の@mimiのOKR

今回は、これまで人事と退職者が対面で行っていた退職オリエンテーションを、非対面で手続きができるよう取り組んだ①のOKRについてご紹介します。

どのようなことを行ったか

1.退職オリエン内容をアンケート形式に変更 / 退職者へのご案内作成

今までやってきた退職予定者と対面しながら進めていた退職手続きに関する確認やご案内を、手続きに関するアンケート&アンケート内容に合わせた退職者へのご案内に切替をいたしました。

2.パートナーにアンケート&ご案内の内容について意見を聞く

退職後の住民税/社会保険などの手続きについて、ご案内を読んだ後、退職者の方がお手続きで分からないことがないように、アンケート&ご案内作成後、まず外国籍のパートナーや新卒のパートナーに意見を聞き、より分かりやすく内容を修正しました。

3.退職連絡票を自動作成

退職オリエンアンケートから得られた情報のうち、社会保険喪失手続きに必要なデータのみを自動抽出し社労士にメールを送付できるよう、人事のテック化推進役のなべさんと共に退職連絡表を自動作成できる仕組みを作りました。

4.各種通知の自動化

入退社を管理するGoogleスプレッドシートに退職日を入力するだけで、 対象者のSlackに退職アンケートとご案内botが通知されるよう  設定を行いました。また、退職者の最終出社日に返却が必要なものについても、ご本人のSlackにリマインドが自動的に通知されるよう設定を行いました。

この取り組みによって、退職手続きを非対面で行えるフローを確立することができました。また3,4の仕組みを作ったことで、人事が手動で退職者のSlackに連絡を送らなくとも、自動で退職者のSlackへ案内ができるようになりました。

OKRに取り組んでどう思ったか

自分が退職手続きを担当した時から改善できたらいいなと思いながらも、自分一人ではなかなか着手できなかったこの改善を今回OKRを通して他のメンバーと共に取り組んだことで一気に改善ができたことがうれしかったです。また意図したことではないものの、OKRが始まったタイミングで在宅勤務体制に突入したため、結果的に今回の改善が在宅勤務体制でも大いに役立ったことは更にうれしかったです。

HRテック推進担当の@nabeのOKR

今回は、労務の各種定型手続きをテック化することで、チーム全体の作業工数が削減できるよう取り組んだ①のOKRについてご紹介します。

どのようなことを行ったか

【あらたんのOKRのお問い合わせbot】

HRブログ「元エンジニアが給与計算の時間を1/3にした話」でもちょっぴり触れましたが、Slackの人事問合せ用チャンネルに届いた内容に、あらたんがスプレッドシートにキーワードに対する回答をまとめてくれて、そのキーワードを含まていたら、届いた問合せのスレッドにその回答内容を自動返答する仕組みです。

まとめられた回答リスト
問合せとその自動回答

キーワードごとにAND、ORの条件を付けられるのでいい感じで回答できてると思います。また問合せ内容も保存してるので問合せ分析もできて一石二鳥です。回答リストもスプレッドシート管理なので、気軽に追記、編集出来、その場で回答に反映されます。

【@biscoos、@mimiのOKRの社労士への定形メールの自動化】

入社、退職があると必要な情報を定形で作成して、社労士へメールで連絡しています。その内容はスプレッドシート一元管理してるので、内容確認してからメール送信までのフローを自動化しました。

Google Apps Script(GAS)の GmailAppクラスを利用して、スプレッドシートの情報からメール内容を自動整形して送信してます。また入社対応だったら、入社時の必要提出書類などが揃えばチェックして、入社前にチェックされてなかったら、チャンネルにリマンドのbot通知するようにしました。

このように手続き完了まで必要な対応の進捗チェックもすべてリマインド通知することで、いちいち進捗を確認するために見に行く必要もないし、メンバーに進捗も伝わるのでよかったです。ちょっとした作業でも塵も積もれば…なので、各個人の記憶に頼らず、属人化を起こさないことで、新たな改善・施策に取り組めることができるかなと思います。

OKRに取り組んでどう思ったか

今回はチームメンバーとタッグを組んで進めることで、メンバーそれぞれの考え方、取り組み方を知ることが出来、それが刺激にもなりました。またコミュニケーションが増えたことが、リモートワークだからこそ、チームにとってもプラスになったと思います。

1QOKRのまとめ

以上、労務チームの1QOKRをご紹介させていただきました。

部門OKRとして設定した「①Tech×ホスピタリティ 生産性の向上」は、メンバーが考えた改善ビジョンにテック化推進担当のなべさんの技術力が掛け合わさることで、OKRを達成することができたと感じています。

また 、1Qはコロナ禍の影響でリモートワーク体制に移行したタイミングでもあり、これがどのような影響をもたらすのか未知数なところもありましたが、結果的にリモートワーク体制下においても、OKRはきちんと機能したと思っています。むしろ、OKRがあったからこそ、メンバーがやるべきことを見失わずに目標に対してのアクションを取り続けることができたので、OKRってすごい! と改めて感じた次第です。

バックオフィスにおいては日々のルーチンに時間を取られ、業務の見直しや改善を行うきっかけがつかめないこともあると思います。しかしながら今回OKRを設定することで「進めたい」と思っていた改善が短期間で大きく改善することができ、リモートワーク下においても「達成できた」という手応えをメンバーひとりひとりが得ることが出来ました。この試験導入をステップにして、引き続きOKRに取り組んでいきたいと思います!