ゴールへの手段にはこだわらない。ネットショップを成功へ導く「カスタマーサクセスチーム」の思考

2005年のサービス開始以来、全国4万店以上に利用されているネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」。有名ブランドから個人の作家さんまで、幅広い層のユーザーに利用されています。
そんなカラーミーショップで今、次々と新たな施策に取り組んでいるのが「カスタマーサクセスチーム」です。今回は同チームの吉林さんと清水さんにお話を伺い、さまざまな施策を仕掛けるチームの雰囲気や、在宅勤務による働き方の変化などに迫りました。

吉林 美貴(よしばやし みき)
Twitter:@omikitchen
あだな:おみき
EC事業部カラーミーショップグループ カスタマーサクセスチーム。趣味はPUBG

清水 愛実(しみず まなみ)
Twitter:@honeycut67
あだな:まなみ
EC事業部カラーミーショップグループ カスタマーサクセスチーム。趣味はクロスバイクでベーグル屋さんを巡ること。

サクセスチームが担う「攻め」の役割

ーカラーミーショップには「カスタマー”サポート”チーム」と「カスタマー”サクセス”チーム」がありますが、まずはこの2つの違いについて教えてください。

まなみ:わたしは、サポートチームが“支える人”であるとすれば、サクセスチームは“導く人”だと思っています。

ショップオーナーさんからいただいた「設定方法がわからない」などのお困りごとを解決するのがサポートの役割。一方わたしたちサクセスチームは、さらにその先の「売れるショップになりたい」っていう目標に対してアプローチしていく。そこが大きな違いですね。

おみき:もらったお問い合わせに返信するサポートチーム、お問い合わせをもらう前にご連絡するサクセスチーム、という点でも大きく違いますね。

正解のないネットショップ運営、しかもカラーミーショップのように多機能なサービスでは、何がわからないのかわからない方や、使うべき機能を知らないまま諦めている方も中にはいらっしゃいます。そういった方々に「こうするといいですよ」と次のステップを示してあげて、今よりもよい方向へ向かっていくための提案をするのがサクセスチームの役割かなと思います。

ーショップオーナーさんはどんなお悩みを抱えていることが多いんですか?

おみき:お悩みは本当にさまざまで、十ショップ十色です。
ネットショップ運営は、開設の壁→決済設定の壁→集客の壁……というふうに大きな壁の連続なので、特に初めてのショップオーナーさんは本当に大変だと思います。「作ったけどこれで合ってる? 売れるの?」というご相談をいただくことはよくありますね。

ーそこにサクセスチームがお声かけしていくわけですね。

まなみ:ショップの売上状況やPV数、開設から経過した日数など、ショップごとに細かくデータをとっているので、条件やステータスに応じてさまざまな形でコンタクトを取っています。

たとえば、申込後のログインは多くても売上がまだ発生していないという場合は、設定や集客につまずいているかもしれないとの予測のもと、次のアクションがとりやすくなるようなアドバイスメールをお送りしたりします。オーナーさんからすると「突然メールが来た!」っていう感じだと思いますけどね(笑)。

おみき:サクセスチームの取り組みの一つに、サイト診断というものがあります。これは、わたしたちが長年見てきた「売れてるショップ」の共通点を25項目にまとめ、ショップの充実度やSEO対策、SNS活用度などを客観的に診断する独自のサービスです。以前は希望制でしたが、今はこちらから診断を行ってメールで結果をお送りしてます。

サクセスチームが行っている「サイト診断」の一部を抜粋

ーつまり、自分のショップがいきなり第三者によって診断されるわけですよね。ショップオーナーさんには驚かれませんか?

まなみ:電話したとき「そんなことまでやってるんですね!」っていうリアクションはいただきましたね。でも意外とネガティブな反応はなかったです。細かくセグメントを切ることで、売上アップに積極的な方へ重点的に届けられているからかもしれません。

おみき:ネットショップを一人きりで運営している方からは、「客観的な意見がほしかったのでありがたい」とうれしいお言葉をいただくことが多いです。

診断結果とわたしたちのアドバイスをもとにショップ改善に取り組んだ結果、少しずつPVや売上が伸びるなど、よい結果につながっている方もたくさんいらっしゃいます。

ーショップオーナーさんも自分で気付けない部分を客観的にお伝えする、まさにかゆいところに手が届くサービスなんですね!

1カ月で20本アップ! YouTube進出の裏側

ー2020年に入ってからはYouTubeでの動画配信もスタートしましたね。

まなみ:年が明けて一発目のチームミーティングで、運営ノウハウの動画を撮ることが決まったんだよね。

おみき:それまで文字だけで手順などの説明をしていたのを動画でも説明できるようになったので、案内のしやすさが格段に上がりましたね。

おみき:特にこの動画を出してからは、ロゴやスライドショーを自分で作成・設定できるショップオーナーさんが増えました。これさえ見ればPhotoshopやIllustratorの技術がなくてもバナーを作れるようになるので、全力でおすすめします!

ー約半年間続けてみて、始めた当初からの変化はありますか?

まなみ:今は「喋る人」と「編集班」に分かれてますが、最初はチームでも2人くらいしか編集作業ができなかったんですよね。でも、なるべく多くのメンバーで回せたほうがいいってことで最近は編集班が増えました。サムネイルのクオリティも少しずつ上がってきたかな。

おみき:チーム内で動画編集ノウハウの共有がかなり活発に行われてて、すごいなと思います。

ー「喋る側」のおみきさんは台本とか用意してるんですか? その場でよどみなく喋るのってなかなか難しそうですが…。

まなみ:おみきは台本がなくてもできちゃうタイプなんだよね。

おみき:これはチーム発足前からやっていた「オンラインショップ開店セミナー」での経験値が生きてますね。参加者からの質問にその場でどんどん回答するのを繰り返していくうちに、とっさの説明力が身についたんだと思います。

2019年8月の開店セミナー

ーより伝わる動画にするために工夫している点があれば教えてください。

おみき:好きなYouTuberさんを研究して、参考になりそうな要素を探しています(笑)。たとえば、わたしがよく見ているチョコレートカカオさんのお菓子作り動画では、動画の冒頭で完成した状態をアップにして紹介するんです。その構成がわかりやすくて好きなので、わたしも「今日はこれをやります」って最初にきちんと説明する流れを取り入れました。

ーまったく異なる分野のYouTuberさんも参考にしてるんですね! 今は月にどれくらいアップしているんですか?

まなみ:平日は毎日アップで月に約20本かな。国内のネットショップ作成サービスの中では、動画本数・視聴回数ともにカラーミーショップがダントツですね。

「やってみてダメならやめればいいじゃん」の精神

ーサイト診断にセミナー運営、そしてYouTube配信。サクセスチームはさまざまな施策を高速で回していますね。そういったスタンスに至ったのはなぜでしょうか。

まなみ:カスタマーサクセスって日本国内ではまだまだ浸透していない概念なんですよね。こう打てばこう響くっていう必勝パターンが存在しない以上、仮説を立てて動くのをとにかく多く繰り返す必要があります。でもチームのリソースには当然限界があるので、効果が薄かったり工数がかかりすぎるものはやめる決断も早くしなくちゃいけない。

おみき:なので、わたしたちは「やってみてダメならやめればいいじゃん」の精神で、とりあえず何でもやってみることを大事にしています。ダメならダメで気付きや学びがあるので、結果から派生して「次はこれを試してみよう」と展開していくことも多いです。

ーかけた工数を考えるとなかなか後に引き返せなくなるのが人間の心理だと思いますが、効果の薄い施策をすばやく中止することに抵抗感はないですか?

まなみ:うーん、ないですね。ショップオーナーさんがゴールを達成するためにいろんな取り組みをしてるので、ゴールが見えなくなったらそのタスクには意味がなくなるというか…。工数を重ねてきたからなんなんだ?と。

ゴールにつながらないなら手段を変えればいい」っていうシンプルな思考が根底にあるので、方向転換への抵抗感が薄いのかもしれないです。

ー手段そのものにはあまりこだわっていない?

まなみ:そうそう。チーム内でその認識が一致しているから取捨選択はしやすいですね。だいたい1カ月スパンで判断していくので、チームに入った当初はなかなか衝撃的だったけど(笑)。

ーサクセスチームにいると、思考力・発想力がかなり試されそうです。

おみき:そうですね。ショップオーナーさんのリアクションや数字を見ながら、何のためにやっていてどこに響いているかを常に意識して動いていく必要があるので、「ただなんとなくやってるだけ」の状態にはなりにくいかもしれません。

まなみ:わたしたちの唯一のミッションは「ショップオーナーさんの成長」。オーナーさんがこうしていきたいなら次はこれを提案してみよう、っていうのを自由に組み立てられるので、チャレンジと発想の可能性がとても大きなチームだと思います。

ー必勝パターンが決まっていないからこそ、アイデアが求められるんですね。

在宅勤務下での円滑なチームコミュニケーション

ーチーム内の雰囲気って普段はどんな感じですか?

おみき:基本的にいつもワイワイしてます! いろんなタイプのメンバーがいますが、みんな楽しいこととおいしいものが大好きなのでノリがいいです。普段からフランクな雑談をたくさんしていて、そこから次の施策のアイデアが浮かぶこともありますね。

まなみ:おみきは雑談番長だからね(笑)。たしかにサクセスチームは雑談が多いです。居酒屋でも熱い話しちゃうタイプ。

おみき:在宅勤務体制になってからは雑談の場が少し減ってしまったのが寂しいので、意識的にミーティングの機会を作るようにしてます。

ー離れ離れになって働く中で、チーム内のコミュニケーションを円滑にするための工夫があれば教えてください。

まなみ:以前は、自分が今持っているタスクの報告・相談をする昼会という場を設けていましたが、在宅勤務が始まってからは朝会・夕会の1日2回に切り替えて、顔を合わせる時間を作っています。

朝夕にみんなの報告を聞きながら、誰かがタスクを持ちすぎていないか、煮詰まっていないかといった点にもこれまで以上に気を配るようになったかな。

おみき:最近は、一つのミーティング内で作業と議論の時間を分けるようになりました。最初の30分間で各自アイデアを練り、残りの30分間にみんなで話し合って優先度をつけていくとか。これはうちのチームならではのやり方かもしれません。

ー「次回までに考えてくる」よりも意思決定のスピードが早くなりそうですね。
最後に、これからサクセスチームに仲間が増えるとして、どんなスキルやマインドを持った人と働いてみたいですか?

まなみ:
スキルでいうと、分析力ですね。きちんと響くところに向けて適切なアプローチをするっていう考え方がある人ほどやりやすいし、おもしろいと思います。

おみき:
サクセスチームには固定的なルーティンワークがないので、そういう仕事が好きな人にとっては大変かもしれません。逆に、新しいことをどんどん始めてみたい人にとっては楽しい現場だと思います!

ー今日はありがとうございました!