インタビュー

アウトプットが多い会社だからこそ人事から情報発信をしたい~ 「ペパボHRブログ」リブートプロジェクト秘話~

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近年、企業が求職者に向けて直接情報発信を行い人材獲得をめざすリクルーティング手法としてオウンドメディアリクルーティングが注目されています。ペパボでは、エンジニアが技術情報を発信する「テックブログ」や各サービス公式SNS、パートナー個人のTwitterなど、さまざまなチャネルで会社の情報を発信しています。

今回は、今、まさにご覧になっているこの「ペパボHRブログ」をどのように成長させてきたのかについて、「ペパボHRブログ」運営責任者であり、常務取締役でもある五十島さんにお話を伺います。

五十島 啓人(いがしま よしと)
Twitter:@igashima
あだな:いがしまさん
常務取締役CFO 兼 HR統括部部長。最近ハマっていることはふるさと納税で大量に取り寄せてしまった安納芋を美味しく蒸かして食べること。

最初は非公式扱いでスタートしたHRブログ

ー ペパボは社風として情報発信が盛んな印象がありますが、人事主体のブログを通じて情報発信をしようと思われたのはなぜでしょうか。

五十島:ペパボは個人の情報発信が盛んで、毎日様々な情報をアウトプットしています。ただ、発信する個人の総和を「ペパボ」と捉えた場合に、網羅しきれていないと感じていて、そこを組織的にやっていきたいと思ったのが理由ですね。

ー 網羅できていないところも含めて組織的に情報発信をしたいと考えられたんですね。

五十島:はい。アウトプットが得意じゃない人の情報ってやっぱり出ていかないですよね。私としてはアウトプットが得意な人が出している情報だけではないところにも、ペパボっぽいところがあるなと感じていて、組織的にそういう部分をしっかりと外に出していきたいと考えたんです。

また別の視点として、当社はまだまだ認知度が低い会社ですので、サービスだけでなく、働く人にもフィーチャーすることが採用において重要だと考えていました。

ー いまのHRブログの形になるまでは、どのような形で人事から情報発信をしていたのでしょうか。

五十島:2007年頃だったかな。人事部のマネージャーのマウリンが「ジンジン」というブログを立ち上げたのが最初ですね。私は当時監査法人に在籍していましたが、「ジンジン」は読んでいました。

非公式扱いではじまった人事ブログ「ジンジン」

ー 当時は読者側だったんですね!

五十島:はい(笑)。ただ、その時はマウリンが個人で運営しているスタイルだったこともあり、ペパボの公式ブログではなく、非公式扱いで、ホームページからはリンクが貼られていなかったんです。そして2014年に、マウリンがペパボを卒業する(※)ことになって。

※2016年に再入社

ー 退職によって、アウトプットする場所がなくなってしまった。

五十島:そうなんです。しばらくアウトプットが滞っていた時期がありました。そんな折、「カラーミーショップ」のメディア「よむよむカラメル(※)」の運営をしていたディレクターから「採用メディアを立ち上げて、そこの編集長をやりたい」という提案を受けました。私としてはいきなりメディアの運営は難しいと思い、いったんブログという形で情報発信を開始しましょうと提案をしたのが「ペパボHRブログ」のはじまりですね。

(※)現在「よむよむCOLOR ME

ー 当時はどのような体制でHRブログを運営されていたのでしょう?

五十島:当時はそのディレクターが取材と写真を担当し、私と人事マネージャーのばしえさんの3人でスモールスタートしました。事業もそうだと思うんですが、最初に莫大な資本を投下して早くリターンを得るというやり方もありますが、リスクが大きいです。

「ペパボHRブログ」に関しては私自身不慣れな部分もあるので、リーンな形で小さくとも、まずはちゃんと更新することや、形にすることに主眼をおいてスタートすることを考えました。

ー リーンスタート以外で意識されたことはありますか?

五十島:レギュレーションやルールをガチガチに決めすぎないということです。約束事が多すぎると楽しくなくなっちゃうじゃないですか。つまらなくなると「なんでこれやってるんだっけ」という話になってきてしまうので。

退職やメンバー交代があっても、ブログをやめるということは考えなかった

ー 2018年10月にHRブログの情報発信をさらに加速させるため「リブートプロジェクト」を発足されたんですよね。プロジェクト発足のきっかけは何だったのでしょうか。

五十島:その頃はバズった記事もでてきており、社内も含めて少しずつ認知度が上がってきたなというところでした。また一方でばしえさんがペパボを辞める(※)というタイミングでもありましたね。ちゃんと更新する土壌も整いつつあったので、ここでメンバーを新しくし、情報発信を強化するためにリブートしたいと考えたんです。

※2019年に再入社

当時バズった記事。パートナーの人柄や生き方が話題になった

ー 退職やメンバーの交代をきっかけにブログ運営自体をやめるのではなく、情報発信を強化する方向に舵を切られたんですね。

五十島:はい。振り返ると分岐点はいくつもありましたが、ブログをやめるということは考えなかったですね。当時、ブログやメディアを運営している会社も増えてきていて、そんななか、ペパボの魅力を発信するツールを持たないのはもったいないと感じたんです。

ー 引くよりも押す方を選んだと。

五十島:ええ。あとは、採用観点もありますね。私はペパボを選んで受けていただいた方に対して「こんなはずじゃなかった」という不幸をできるだけ少なくしたいんです「ペパボHRブログ」は、そういった入社前と入社後のギャップをうめるものという想いをもって運営しています。

HRブログをリブートするために決めたこと

ー HRブログの情報発信を強化するために、どのように進めていかれたのでしょうか。

五十島:まずは目的をしっかり決めました。ひとつは、ペパボの魅力を求職者に知ってもらうこと。もうひとつは、ペパボの“今”を社内のパートナーに知ってもらうことです。

後者については、当時、新しい仲間も増えパートナーが300名を超えてきて、「あの人は誰だろう」という場面も多くなってきました。そこで社内に仲間を知ってもらうことも目的にしていました。あとは、KPIとして入社時アンケートでの「ペパボを知るきっかけ」において「ペパボHRブログ」の割合を20%以上に設定しました。

2018年10月に作成されたHRブログリブートプロジェクトの資料より

ー 運営体制についてはいかがでしょうか。

五十島:週1回以上の情報発信を継続的に行える体制や仕組みを作ることを目標に、メンバーは、人事から2名を新たにアサインしました。一人は元広報で記事作成に長けているhanaさん、もう一人は採用担当でソーシャルでの情報発信が得意なあちゃをアサインしました。

加えて記事の質を担保し、記事のネタを増やすため、広報メンバーにも協力を仰ぎました。あと、カメラマンですね。カメラマンについては、運営メンバーから「公募はどうか?」という提案があり、社内でカメラマンを募ったところ、多くの方から応募があって、選考を行わないといけないほどでした。

ー カメラマンに応募が集まるのは、写真を撮るのが好きな人が多いペパボらしいエピソードですね。

五十島:そうですね(笑)。カメラマンは、入社日が浅いパートナーを優先に選考しました。あとは東京と福岡それぞれの拠点から情報発信ができるようにメンバーを決定しました。

その他に決めたことは、編集会議を隔週に開催することと、記事のテーマ分類決めですね。記事のテーマ分類は多様性等を意識し、①インタビュー、②制度、③サービスの新機能や新プロジェクト及び④イベントレポートの4つとし、様々な情報を発信できるように心がけました。テーマを決めることで、数ヶ月先を見てスケジュールが組めるようになり、より継続して情報発信がしやすい体制ができました。

ー プロジェクトを進める中で苦労された点はありますか? 

五十島:人事は例年3月~5月が業務過多な時期であるため、この時期の更新はきつかったですね。また2019年の夏頃に編集・ライターとして主力で関わってくれていた業務委託メンバーの離脱により、更新継続ができなくなるかもという危機感がありました。

あと、リブートして半年が経過し、記事も安定して週1ペースでだせるようになってきたのですが、ようやく形になってきた分、色々と見えてくる課題もあり「あれもやったほうが」「これもやったほうが」という意見が出てきた結果、自分たちの力量以上に更新のハードルを上げすぎてしまい、継続が難しくなりそうな場面もありました。

ー メンバーの意識が高くなりすぎることで、継続するハードルがあがってしまった。

五十島:はい。なので目線を切り替えたほうがいいと思ったんです。まずは、最初に立てた目標についてどうだったのかを振り返って、達成しているところ、そうでないところの確認を行いました。

あとは、書き手が足りていない事もネックだったので、これまで関わっていなかった人事のメンバーに声がけして書き手として参加してもらうことにしました。頻度も1人3ヶ月に1本程度でいいよとしたところ、初めて記事を書くメンバーも落ち着いて記事を準備できたようで、結果記事のバラエティも増え、より安定して更新が行えるようになりました。

訪問者数は4倍超!「ペパボHRブログ」をきっかけにメディアからの取材も増加

ー プロジェクトがスタートしてから1年になりますが、反響はいかがですか?

五十島:まず社内の認知度はあがりましたね。「ブログに出たいです!」といった声や「ブログに記事を書きたいです」といった声もいただくようになりました。パートナーの協力姿勢に感謝、感謝です。

数値面でいくと、訪問者数は4倍超、記事更新件数は5.8倍、求職者の方への認知度についても20%向上しました。またHRブログをきっかけにメディアからの取材を3件いただくことができました。

d’s JOURNAL様に取材いただいた記事

ー 情報発信を強化した結果、求職者の認知度はもちろん、求職者以外の方にも認知が広がる結果になったんですね。

五十島:はい。2020年の上期まではこのスタイルで続けていきたいと考えています。また下期からは、更新頻度を週2程度にあげていける体制が作れたらいいなと思っています。これをきっかけにコーポレート経由での応募が増えると嬉しいですね。

あと、ペパボには「わたしたちが、大切にしている3つのこと」というものがあります。その中に「みんなと仲良くする」ということを掲げています。ぼくはこの「仲良く」というのは、”共に働く方を知る” ということだと考えています。「ペパボHRブログ」がそのきっかけになればとても嬉しいですね。

ー 最後に、「ペパボHRブログ」をご覧になっている方に、おすすめ記事を3つ選ぶとしたらどれを推薦されますか?

五十島:これすごい難しい質問ですね(笑)

悩みながらオススメ記事を書き出してくれました

サービスを牽引している日本×韓国×USAの多国籍メンバーがワンチームで「minne」の開発に携わっているのがよく分かる記事になっています。

自分で言うのもなんですが、ペパボの社員旅行はめっちゃ楽しいです(笑)。パートナーが楽しそうにしている姿を見るのが好きなんです。

ペパボでは2018年4月からフレックス制度を正社員パートナーに導入したのですが、導入して1年後、実際のところはどうなの?という切り口でパートナーの意見をとりまとめて記事にしたものです。制度導入後という視点で記事化できているのがいいですね。

ますますパワーアップしていく「ペパボHRブログ」を、2020年もよろしくお願いいたします!

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